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枯草菌(Bacillusu subtilis)について
- 一般的特徴
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1 Bacillusu属の菌のうち、最も良く知られた菌種で、同属の基準種とされている。 2 病原性のない極めて安全性の高い菌である。(納豆菌も分類上は同じ菌種) 3 枯草、牛乳、土壌、味噌、醤油、空気中など自然界に汎生している。味噌などでは キメ細やかで、ねっとりした感じにし、感触を改善する作用もある。
4 一般に死んだものには作用を及ぼし、生きたものには作用を及ぼさないとも言われ ている。このことは安全性の高いことにつながる。
5 異種有用微生物と共存する能力を持っている。当社のバイオ商品には、酵母菌、乳 酸菌、麹菌などの有用微生物が多く見出される。
- 形態、構造
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1 体長は2~3ミクロン、体幅0.7~0.8ミクロン程度である。 2 重さは2.6×10-13 g、比重1.12、容積1.6×10-12mmlである。 3 増殖時期により、単在または連鎖状を呈している。 4 両端鈍円の悍状菌である。 5 菌体中央付近に楕円形の芽胞を有する。生存に不適な環境になると、体中に芽胞を 作り、強い抵抗力を示す。例えば100℃で数十分の加熱に耐えると言われている。
6 莢膜はない。 7 周毛性の鞭毛をもち、活発に運動する。 8 培地によく発育し、灰白色で扁平なR型集落を形成する。
- 生物学的、化学的特徴
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1 最適温度は27~37℃(中温域)であるが、5~50℃程度でもよく増殖する。 2 最適PHは7~8.5であるが、4~10程度でも増殖する。 3 グラム陽性でアニリン色素によく染まる。芽胞で濃染するものと淡染するものとの 2通りを生ずるが、後者は発芽後の芽胞殼である。
4 好気性、通性嫌気性の両生を示す。 5 世代時期は最適条件下(25℃)で31分である。一日の増殖回数46回、一日の増殖率は6×1013である。 6 塩濃度に対する抵抗力も強く、海水中もよく増殖する。 7 蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)、澱粉分解酵素(アミラーゼ)、の生産力が強い。 8 ブドウ糖(グルコース)、麦芽糖(マルトース)、庶糖(シュークロース)から有機 酸やビタミンB群やUGF(未知発育促進因子)を生産するがガスは作らない。
9 ゼラチンを液化させ、カタラーゼ反応陽性を示す。(過酸化水素を分解する『酵素』) 10 亜硝酸塩を還元する。 11 動物の腸内では一過性である。胃液中の強酸条件下では芽胞で通過し、腸内で活性 を示す。 12 菌体中の蛋白音量は63%(乾物重量)で、他の菌より多い。