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2003.10.19
林道妹尾(いもお)−八斗蒔線を八斗蒔峠へ抜ける抜ける途中の「西ノ河(にしのこう)」地区には、わずかに残された原生林があります。ここは、日本列島の原植生をよく保存した貴重な生態圏として、特別の保護指定を受けています。標高は1000メートル近く、紀伊半島中腹でありながら、本州中央と似たモミ・ツガやブナなどの目立つ涼しげな森となっており、南紀に卓越する照葉樹林相(水上自然林、大塔山系など)とは異なる景観を見せています。
[参考] 和歌山県による鳥獣保護区の指定の告知(平成5年11月1日から平成15年10月31日まで、妹尾・西ノ河保護区がここに含まれていました。現在は、記述がなくなっています。)
和歌山県日高郡美山村 2003.10.19
林道妹尾線入り口の状態がひどく、同行車両2台のうち公道仕様の1台は踏破を断念することになりました。中へ入ってもところどころ悪路があり、この判断はまったく正しかったようです。
比較的明るい木立の間にそびえる壮年のブナの樹影には、ある種の威風すら感じられます。
道ばたの倒木にキノコが多いなあと思って車を止めてみると、崖側には大きなツキヨタケが群生していました。
清水の流れ落ちているほとりでは、サワガニも珍しくありません。
和歌山県日高郡龍神村 森林公園ワイルドライフ案内所 2003.10.19
妹尾林道を迂回して自動車道を走った1台と森林公園ワイルドライフ駐車場で落ち合った後、高野山をめざして龍神・高野スカイラインを行く途中の道の駅で車を停めて夕陽を眺めることにしました。そよそよとした秋風も肌に冷たい標高1000メートル以上の秋の夕暮れでした。
北側から西の方まで大きく眺望の得られる案内所付近の休憩所から、北の高野山の方角を望む。すっかり秋も深まった十月後半ですが、杉・檜主体の人工林には美しい紅葉は見られません。落葉樹の原生林に覆われていたというかつてはどのようだったでしょうか。
西の方、はてなし山に落ちる夕陽。
高野山に向かっていったんは走り出した車の中から見たはてなし山の入り陽。
Photo & texts: Tamura Yoshiya.