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◆仙島(せんじま)



※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「徳山」(昭和21.11)を使用したものである

所在:周南市富田(とんだ)
地形図:徳山/徳山
アクセント:ンジマ
形態:海沿いに家屋が散在する
標高:約10〜30m?
訪問:2022年12月

 

 徳山の築港より、西に2q弱にある島。
 資料『シマダス』によると、国勢調査では平成17年まで人口1人であったが、同22年に無人化したとのこと。ただし平成27年の住民基本台帳には1人の登録がある。戦時中には海軍の給水タンクや見張り所が置かれていた。戦後、養護施設の「希望の家」が開設。現在でも元住民が島を訪れ、島内の整備を行っているという。
 また西の
黒髪島とは干渡(ひと)と呼ばれる砂洲でつながっている。大正7年7月12日に爆沈し、1,020人の乗員中621人が死亡した軍艦「河内」の碑が干渡の仙島側に立てられている。

 上陸は黒髪島の太刀浦(たちのうら)より。黒髪島をひと通り見たのち、陸繋部の砂洲を渡っての訪問となった。この砂洲は満潮時でも水没はしないよう。
 まず砂洲において、先述の碑を確認(写真2)。「軍艦河内殉難者英霊之碑」とあり、そばには納骨碑も見られる。
 島の南西部で2箇所の建物跡(うち1箇所は人家。もう一方も住居跡?)を確認したのち、稜線伝いに北東へ向かった。電力関係者が時々入島しているとのことで、道筋は電線の巡視路として管理されているよう。
 島の頂上および131mの標高点の間にある鞍部より、よく管理された道が下方に続いている。これは先述の元住民の管理家屋へ通じていると思われ、道筋は昭和22年の航空写真では明瞭に確認できる。さらに鞍部から先の標高点付近にかけて軍事施設が散在(写真13-29)。
 兵舎より先は電線の巡視路から外れるためか、道は不明瞭となる。発電機室より先は道が消滅し、降下には注意を要する。
 島の北東部では複数の建物や建物跡が見られたが、いずれかが先述の「希望の家」に関係するものと思われる。
 島内を横断したのち、北東の船着場より帰還。時間の都合で、元住民の管理家屋(写真43)および北岸中央の別の建物跡(写真44)は未訪問となった。
 なお
蛇島・仙島・黒髪島が詠まれた短歌の歌碑が蛇島に置かれていたが、昭和46年に太華山(たいかざん)に移されている(写真45)
 また軍事施設の情報については、ブログ「
戦争遺跡に行ってみた。〜砲台探訪と山口県の戦争遺跡」が非常に参考となった。

 市史によると、「希望の家」は昭和24年石丸夫妻によって開園。同年4月1日旧仙島別荘を借り受け、独力で山地の開墾・施設の改修を行い、7月1日福祉施設として認可された。昭和30年9月30日、台風により大半が潰滅。しかし園舎を高地に移転し再建した。昭和40年ディーゼル船「有明丸」が就航し、在籍児童生徒27人が富田東小学校・富田中学校に通学。昭和42年3月31日養護施設としては閉鎖となったが、4月1日知的障害児の支援施設として開設され、田中氏が園長となる。昭和43年4月15日、鹿野町【現・周南市】へ移転(鹿野学園)。
 昭和35年電気導入。

 


写真1 遠景。左の盛り上がった部分が
黒髪島、他のなだらかな部分が仙島(晴海町(はるみちょう)より撮影)


写真2 碑(以下概ね訪問順)

写真3 納骨碑

写真4 碑から見る陸繋部と黒髪島。右下は寄付者が記されたもの


写真5 陸繋部より南を望む。手前右の陸地は黒髪島。遠方は左より大島半島先端〜粭島(すくもじま)、洲島(すしま)


写真6 浜より農地跡を望む

写真7 写真6にて。倒潰建物

写真8 瓦

写真9 浜より農地跡を望む(『シマダス』によると「白浜」)

写真10 写真9の家屋

写真11 電柱

写真12 島の頂上

写真13 兵舎にて

写真14 同

写真15 同

写真16 同

写真17 地下壕

写真18 写真17にて。「仙島」「呉」などと見える

写真19 同。「大和」「記念」「興亜」などと見える

写真20 弾薬庫?

写真21 砲座

写真22 指揮所

写真23 写真22にて。煉瓦

写真24 砲座の一部

写真25 探照灯付近にて。何かの基礎

写真26 同。水槽

写真27 同。窪地

写真28 発電機室跡

写真29 写真28にて


写真30 建物跡。以下島の北東部にて


写真31 廃屋

写真32 谷と石垣。建物は写真31

写真33 何かの跡

写真34 何かの建物

写真35 同。正面玄関

写真36 家屋

写真37 倉庫?

写真38 何かの建物

写真39 浜から集落に通じる道

写真40 波止場より道を見る

写真41 波止場

写真42 浜からの風景。対岸は新南陽方面

写真43 管理地遠景

写真44 北岸の建物跡遠景

(写真45 移設した歌碑〔太華山にて〕)

(写真46 太華山からの遠景。中央の小島が
蛇島、その後方が仙島、左が黒髪島

 

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