平成15年春の南方邸調査に際して、当会生物班によって調査の進められている熊楠の生物資料(標本と図譜)の虫干しが行われました。よく晴れた日で、暖かいうちに再梱包までしたいということで、生物班諸氏はお昼の休憩も返上で作業を行いました。
撮影:安田忠典
邸の庭にシートを敷いて、標本類を保管しているプラスチックケースとブリキ缶を庭に出します。白衣で作業を進めているのは生物班の土永浩史、土永知子のお二人。
これらをすべて、ふたを開けて中の空気を入れ換える作業をしなければなりません。写真を見ていてもうんざりですが、熊楠が生物採集に膨大な時間を割いていたことがあらためて実感されます。
茶変の進んだ標本台紙。熊楠没後50年間、当会による調査が始まるまでほぼ誰の手にも触れなかったこれら資料の中には、残念ながら保存状態が悪くなってしまったものもあります。
乾燥や経年変化により色彩は失われるため、花などは台紙に図譜を描き込むことも多いのですが、標本の方は失われて台紙だけが残ったものもありました。
これら標本のうち、最初期のものになる熊楠滞米時に採集作成された植物標本の一部の写真もご紹介しています。
* 写真内の日付が2002年になっているのは、単なるディジタルカメラの日付設定ミスです。
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