◆川口(かわぐち)
所在:下北山村下桑原(しもくわはら)
地形図:池原/釈迦ヶ岳
形態:川の合流部に家屋が集まる
標高:約160m(水面は約180m)
訪問:2019年5月
北山(きたやま)川・西(にし)ノ川の合流部、三重・熊野市の県境付近にある。古い地図では既に見られず、村史に記載されている。
村史によると、明治25年大里(おおさと)の福本家が初代渡守として一家9人が住み着いたのが集落の始まり。それまではささやかな一本橋が架かっていたが、雨のたびに流され物資が止まっていた(素人の渡しもあった)。道ができ、荷車が小口まで来るようになると渡船が盛んになる。荷車が前鬼口まで通うようになるころには全盛期を迎え、家は10軒、多くの馬屋があった。ただしその立地ゆえ水害も多かった。やがて索道の敷設、次いで吊橋の設置(大正14年、小口)に伴い荷物の中継としての存在意義を失い、もともと水害にの危険も多いこともあって、昭和を待たず無人となった。
関連の深い小口のページも参照されたい。
2019年訪問。現地は完全に水没しており痕跡は皆無。湖畔には下桑原出身の元村会議員および元村長である東富蔵氏の胸像(写真4)があるが、設置場所から当地もしくは小口の出身であったのだろうか。
なお付近に架かる国道の橋梁(写真2)は「小口橋」で、ここから400mほど上流に位置していた小口の名を用いている。
|