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◇東ノ川(ひがしのかわ)

 

 東(ひがし)ノ川沿いの集落の総称。「東之川」「東の川」とも。各集落内では飛び地状態の大字が複雑に位置しているため、便宜上こう呼ばれている。なお、郵便番号も東ノ川固有のものがある。
 地区内には「望郷立志誓之碑」(写真)が建ち、地区の歴史など書かれている。以下はその全文(■は判読できなかったもの)。


上北山村東ノ川は、
吉野山地の奥深く清流東ノ川の渓谷に沿いて、出口十六戸、五味三戸、宮之平四十八戸、古川十三戸、出合十九戸、坂本七戸、大塚二十六戸の集落より成り、住民は素朴、質実、温良、貞純、にして文化の悪風を除外し、外辺を隔絶して相寄り相扶け平家の武者の隠れ住みしと口伝さる、古より幽深の山気の中に幾星霜、外境を謳ひ今日に至る。然るに国土開発の国策による坂本ダムの建設は、集落一三二戸悉く水底に没せしむ。     嗚呼国勢の進展に寄與犠牲の誇りのみを以っては愛着惜別の情禁じ難し、住民各々志を立て大成を期して他郷に四散し、克苦勉励、生を計り、業を成し、旧里の山河に恥じずと雖も、透澄の水に銀輪光る〓【魚へんに若】、山魚女、壁岸に素々と花開く石楠花の紅、悠々たる白雲、亭々たる巨木、事に触れ、想ふに従ひ望郷の念を禁じ難し、此地に東ノ川青年団解散に当り、祖先及先輩の遺徳を顕彰し、水没の諸霊、六■■■■■の諸魂を慰め、他郷にありて常に清純の心を失せず、層一層業に励み■■■■め、家を治め、世に裨益し、子孫永く誓って故郷の山気清情に應えん■■■の碑を建立す。願くは、我等が前途に光輝あらん事を。

尾鷲市 ■佛寺住職
 総本山 知恩院長老
  僧正 乘誉哲音 題

 


写真 碑

 

 以下は文献『東ノ川』より抜萃・改変。

 江戸時代の初め頃、北山川本流の居住者が僅かな谷底の土地を開き農業・山稼をしていた。文政の頃33軒156人。それより150、60年前には小瀬・栃本(現在の小橡)・西野(現在の西原)の3村から移住(分村)。

 地区は小橡・西原・河合・白川に分属し、飛び地などでそれらが複雑に分布している。最初にこの地に来往してきた人々はこれらの旧大字よりのもの。森林伐採の本格化に伴い、明治43年出合から宮ノ平を経て出口までトロッコ軌道を敷設。一般雑貨輸送にも用いられた。のち坂本ダムの工事用材の運搬にも用いたが、昭和36年林道の完成と共に撤去。

・集落別出身地(昭和34年・水没関係者133世帯について)
 ※ ( )内は集落の世帯数
 ※ 「下宮ノ平」・「出合」の合計が合わない(当方による入力ミス?)

 

出口(16)

五味(3) 上宮ノ平(18) 下宮ノ平(30) 出合(19) 古川(13) 坂本(7) セビ谷(1) 大塚(26)
奈良県 上北山村 小橡 7 2 11 23 4        
西原 2   6 4          
河合       1 1 6      
白川       2 2 5     23
木組 3                
下北山村 1                
十津川村       1 2        
三重県 尾鷲市         7 1 1    
その他 1     2       1 2
その他 2 1 1 1 1 1 5   1
不明             1    

 

(グラフ)

集落別出身地

 

・集落別来往年代(昭和34年・水没関係者133世帯について)
 ※ ( )内は集落の世帯数

 

出口(16)

五味(3) 上宮ノ平(18) 下宮ノ平(30) 出合(19) 古川(13) 坂本(7) セビ谷(1) 大塚(26)
〜明治前半 12 2 17 26 6 11     23
明治後半       1     1    
大正         1   3   2
昭和(戦前) 1     1 7 2 2    
昭和(戦後) 3 1 1 2 5     1 1
不明             1    

 

(グラフ)
集落別来往年代

 

水没による転出先
 ※ ( )内は集落の世帯数
 ※ その他は岐阜2・新潟1・宮崎1

 

出口(16)

五味(3) 上宮ノ平(18) 下宮ノ平(30) 出合(19) 古川(13) 坂本(7) セビ谷(1) 大塚(26
奈良県 上北山村 残留 5   4 7 2 5      
河合   1 1 1   1 1    
小橡     1           3
下北山村 1   1   2   1   2
奈良市 1 1 1   2       1
大和高田市     1   1       2
三重県 尾鷲市 4   6 14 10 4 2 1 12
熊野市 2 1 2           2
その他       3 1 1 2    
和歌山県 2     1         1
大阪府     1 2   2     3
その他 1     2 1        
死亡             1    

 

(グラフ)
転出先

 

・東ノ川地区の分属大字別の世帯・人口(昭和30年国勢調査)

  西原 小橡 河合 白川 合計
出口 世帯数 3 5     8
人口 9 26     35
五味 世帯数   2     2
人口   8     8
宮ノ平 世帯数 5 24     29
人口 16 101     117
出合 世帯数   4 1 9 14
人口   15 6 31 52
古川 世帯数     6 4 10
人口     17 12 29
坂本 世帯数   12 2   14
人口   58 6   64
大塚 世帯数       14 14
人口       70 70

 

 

 

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