◆沓掛(くつかけ)
所在:遠野市上郷町細越(かみごうちょうほそごえ)
大字細越の東部、早瀬(はやせ)川上流部にある。遠野と釜石を結ぶ釜石街道の途上にあり、街道の最難所である仙人峠(標高887m)の西の麓に位置する。
資料『釜石市文化財調査報告書』によると、初期は1戸。『邦内郷村志』(明和〜寛政年間)や『三閉伊路程記』(文化文政頃)には「細越村沓掛一軒」と記されている。これは後の沓掛家で、大正になってから3戸になった(本家の長四郎家・分家の徳之丞家・雲南茶屋の佐々木家)。 ※ 本文中に「三陸運送が丸通の仕事をしながら、駄菓子、雑貨類を商っていたので…」という記述がある。通運に携わる業者であったか 同書および市史によると、仙人峠駅や岩手軽便鉄道の歴史は以下のとおり。 また国道の仙人トンネルは、昭和33年2月23日起工式。昭和34年9月12日有料道路として開通した(現在は無料)。 沓掛観音(早瀬観音)については、元の参道は左岸にあり、数基の鳥居があって巌窟の前に橋が架けられていた。右岸の道路は、戦時中巌窟の北側にある通称銭吹穴(ぜにふきあな)といわれる場所から石灰石を採掘し、それを仙人峠駅までレールを敷設し、貨車で運搬するために設けられたもの。石灰石は、駅から鉄索によって大橋に運送されたという。 以下は仙人峠への道中にある沓掛観音の解説板(写真21)の全文。 沓掛という地名は、仙人峠の登り口で通行人がはきものを木に掛けたことからきています。昔、閉伊頼基の妻乙羽姫がこの地を訪れた際に、がけにクズの花が満開に咲いているのに感激し、崇拝していた観音像を安置したと言われています。この観音が岩屋の中に長年安置されて見る影も無くなったことから、新しく観音像をつくり、現在、曹洞宗慶雲寺の保存されています。
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![]() 写真1 沓掛本家跡付近 |
![]() 写真2 写真1後方の平坦地。ベンチがある |
![]() 写真3 沓掛本家・仙人峠駅跡付近 |
![]() 写真4 岩手軽便鉄道の標柱と早瀬観音の石塔 |
![]() 写真5 鈴木家・丸通跡付近? |
![]() 写真6 変電所・索道操作場付近? |
![]() 写真7 早瀬川と茶屋跡の石垣 |
![]() 写真8 雲南茶屋跡付近 |
![]() 写真9 沓掛分家跡(奥は写真10) |
![]() 写真10 橋と便所。奥は仙人峠登り口 |
![]() 写真11 仙人峠登り口 |
![]() 写真12 登り口の石塔。、右には「南無阿弥陀〓/延享元甲子天/七月吉日」とあり、左には先の資料によると「大道體廣無易/天明八申年/六月十二日」と記されている ※ 〓は「価」のつくりの下に「国」。「仏」の異体字 |
![]() 写真13 社宅・出張授業所(移転後)付近? |
![]() 写真14 何かの遺構(左岸「片岩」の付近) |
![]() 写真15 沓掛観音窟入口 |
![]() 写真16 手水鉢 |
![]() 写真17 巌窟内の風景 |
![]() 写真18 上方の穴 |
![]() 写真19 沓掛観音から対岸を望む(往時は対岸に参道があった) |
![]() (写真20 沓掛観音の解説板。仙人峠への道中にあり、実際の位置から遠く離れている) |
![]() (写真21 足ヶ瀬の沓掛観音堂) |