秋雨の南方邸

−平成15年11月−

 南方邸特別公開と2年ぶりの南方熊楠ゼミナールを終えた翌日の11月24日、南方邸では、秋の実をつけた木立が晩秋の冷たい雨に降りこめられられていました。

[Photo: Orange trees]

 玄関と水屋の裏手にあるミカンの木を庭から見たところ。南国らしくたわわに実が下がっているところは、まだ夏の名残を感じさせます。

[Photo: Tounezumimochi]

 夏にはクマゼミが隙間なく取り付いていたトウネズミモチ。近づいてみるとまだ若い小さな実をびっしりとつけていました。

[Photo: Camphor tree]

 庭のミカンの木の上に聳えるクスノキ。縁側のすぐ脇にあって、足元がヒトに踏み固められているのが気の毒です。葉の茂りも勢いがなく、「雨でも傘がいらなかった」という熊楠の言からはほど遠い衰え方ですが、それでも庭先から振り仰いで見るとやはり堂々と抜きんでています。根元のミカンの木は実がたくさんなっていますが、左端のアンドウミカンは残念ながらあまり実を付けなくなりました。

 右は母屋、アンドウミカンの後ろにかすかに書庫が見えます。蔵はクスノキの陰になって見えません。

[Photo: Kuroganemochi tree]

 庭の南側に高く聳えるクロガネモチ。降りしきる雨の中、濃く硬い葉の緑を背景にして、密生した小さな実の赤さがひときわ目立っていました。冬をひかえて、ひとあし早いクリスマス配色のようです。

Die roten Rosen waren nie so rot
als an dem Abend, der umregnet war.
Ich dachte lange an dein sanftes Haar...
Die roten Rosen waren nie so rot.

Es dunkelten die Büsche nie so grün
als an dem Abend in der Regenzeit.
Ich dachte lange an dein weiches Kleid...
Es dunkelten die Büsche nie so grün.

       - Rainer Maria Rilke, 9.9.1900.

写真:2003年11月24日、南方邸にて。撮影:田村義也

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