帰化動物の危険

帰化生物とは

帰化生物というのは、国外から入って来て繁殖している生物の事である。 ただし、時代をさかのぼれば日本などほとんど全てが外部からになるだろう。 また、入る方法も原因も様々である。帰化生物といえば、普通、比較的近年に 人間の活動を原因としてはいってきたものをさす。つまり、人間がかかわらない 自然な働きで入って来たものはこう呼ばない。
近代に入って、人間の活動やそれによる物品の移動が大量・広範囲になるに したがって、帰化生物は大きな問題になった。

帰化生物の大発生

帰化生物には 爆発的に増殖するものがいて、大きな被害を及ぼす場合がある。これは、 どのような生物も、それぞれの住んでいた場所では、周りの生物や環境との 関係で、特定の種が大発生してバランスが壊れることがないような仕組みが 構成されていたためと考えるのがよいだろう。天敵や、病原体などがその 個体数を抑えるための仕組みとしても機能していたのである。今までその 生物がいなかった場所へ侵入した場合、その場所ではその生物に対する このような仕組みは用意されていない。当然同じようなものは別の種に 対する仕組みとしては存在するから、それが多少は役に立つ場合もあろう。 もし役に立たなければ個体数増加を抑えられず、大発生を引き起こし、 様々な被害を及ぼすことになる。

定着後の消長

帰化生物が侵入した後どうなるかには様々なパターンがあるようだ。
一度は大発生してもその後消えて行くものもあるようで、雑草などには 最近は見ないねーというようなのが結構ある。ヒッツキムシとして有名だった オナモミはレッドデータブック入りしかねない状況である。帰化植物を入れる こともないとは思うが。
セイタカアワダチソウなどは30年前にはそこらの空き地はすべて埋めつ くされるかと思うほどの増っぷりだったが、最近は背丈も低くなって道端で おとなしくしている。あるいは日本の風土に同化したのかもしれない。日本の 人里の植物の多くがこのようにして日本の風景を作る要素となっていった はずである。帰化生物の根絶が難しい場合、こんなふうになるのが理想なの だろう。
 アメリカザリガニは、20世紀初頭にアメリカから持ち込まれるや、全国の 水田に広がり、畦にトンネルを造ることで大いに嫌われたという過去をもって いるが、現在はむしろ見られなくなった身近な生き物の一つに数えられるくらい 少なくなった。おそらく農薬によって減少したものと思われる。しかし、ふけ田 での水生動物減少の原因がザリガニであったとすれば、彼らは実はいまだに 日本の風土になじんでおらず、農薬などの制約がなくなれば、爆発的な増殖が 起こる危険性をもっているということを示す。
ザリガニは、子供にとっても親しめる存在であるので、ビオトープなどで、 わざわざ導入する場合があるようだが、やはりやめるべきである。アメリカ ザリガニや、ブラックバスなどに対して、やがては日本の風土になじんで 無害になるはずだというような表現をするものがいるが、当てにはならない と思う。そうなるまでの何十年の間にまわりが無茶苦茶にされる危険性もあるし、 ついに同化しない可能性もあるのである。

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