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カビの観察
水生不完全菌の観察
川に沈んだ落ち葉にも、カビが生えます。水中のカビといえば、いわゆるミズカビというのが有名で、肉眼でも
はっきりと分かるくらい太くて長い菌糸を持つものがあるので、綿屑のような姿はよく知られているところです。
しかし、これ以外に、不完全菌の仲間にも水中生活するものがあり、落葉ではそちらのほうがよく見られるようです。
しかも、このグループは水中生活に適応して、まるでプランクトンに見られるような、長い枝を持った胞子をつくる
ので、見ても面白いし、観察や種の判別がやさしいという利点があります。
純粋培養となると難しい点も多いのですが、落葉上に育つ姿を見るだけならば、ごく簡単なので、ここに紹介したいと
思います。高校生の研究などにも使えるのではないでしょうか。
この仲間は、比較的きれいな水の中の落ち葉や枯れ枝には、ごく普通に見られるものです。特に、渓流に沈んだ落ち葉は
よい住み家となっていて、たくさんの種類がいるようです。ここでは、ごく簡単な観察の仕方を紹介してみます。
観察の方法
1:落ち葉を採集して来ます。川に沈んだもの、渓流の石の間にひっかかったものなど、岸に打ち上げられたものでも
いいようです。泥をかぶっているようなら、軽く川の水で洗っておくといいでしょう。
水生不完全菌は、落ち葉の中に菌糸を広げ、その表面から分生子柄を出して分生子を作ります。ですから、落ち葉の表面が
泥に覆われていたり、バクテリアが繁殖したりするとよくないので、洗うのは効果があります。
2:落ち葉をシャーレに入れ、滅菌水を加えます。
○滅菌水は、フラスコに水(水道水でよい)を入れ、口をアルミ箔で覆い、沸騰させたものを冷やして使います。
○シャーレは滅菌していなくてもかまいません。落ち葉は大きい場合には適当に切ります。葉柄の部分は、カビが
でることが多いので、あった方がいいようです。
3:高温にならないところに保存し、1日置きます。
4:顕微鏡で観察します。
○観察は、シャーレを直接顕微鏡に載せておこないます。シャーレ内の水は、落ち葉がやっと浸る程度にしておくと
いいでしょう。この場合、対物レンズは10倍までを使います。レンズが水に浸からないよう、注意して下さい。
○水底と水面には、多数の分生子が放出されているはずです。水底に落ちた分生子は、すぐに発芽を始めるので、その様子も
見ることができます。
○落ち葉の周辺部にそって観察します。分生子が出ているところが見つかれば、注意して観察してみましょう。
特に、形成の過程が見られるところ、出来かけの分生子を探してみるのは、大事な観察ポイントになります。
4:よりくわしく観察するには、落ち葉をスライドガラスに載せ、カバーガラスをかけて観察するといいでしょう。
5:観察をつづける場合、新しいシャーレを用意し、落ち葉を滅菌水で洗った後、新しいシャーレに落ち葉と滅菌水を
加えた方がいいようです。
○観察の要点
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