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カビの観察
水生不完全菌の観察
○観察の要点
ここで、いくつか具体的に、見分けかたの要点を説明します。
水生不完全菌の胞子は、形が様々ですが、それなりの型があります。主なものは、テトラポッド型(生4面体の軸のような感じに
枝が配置する)や枝分かれ型、それに細長くて枝がない形といったところ。
また、不完全菌ですから、分生子形成型を見分けることがとても大事です。
分生子の形には、いくつかのタイプがあります。大まかに、以下の4つに分けてみましょう。
いくつか代表的なものを例に、説明をつけてみました。
テトラポッド型の胞子を作るもの
4本の枝が、一点から放射状に出るように見える型です。水生不完全菌の看板みたいなものです。
●Tetrachaetum テトラキーツム
今私が観察している中では、一番目立つもので、この仲間では最大級の胞子を作ります。
上の写真がそれです。
落ち葉の縁を見ると、作られている分生子が見られます。
これを見ると、1つの枝の先で分生子柄についている事がわかります。
また、細かい部分を見ると、
こんな風に、先から分かれた枝のうち、1本が先に出て、脇に2本出る形なのがわかります(右写真矢印)。
それから、これはよく見ないと難しいのですが、分生子が作られるかなり始めのうちに、分生子柄との
間に隔壁ができているのがわかります(左写真矢印)。
これは、”分生子柄先端に1つの細胞でき、それが変形して分生子ができる”ということを意味します。
このような分生子形成型をアレウリオ型といいます。
このように、どうやって分生子が作られるかは、重要なポイントになります。ちなみに、水生不完全菌では、
アレウリオ型は結構多いようです。
●Lemonniera レモニエラ
同じくテトラポッド型の分生子を作るものですが、分生子形成型がまったく違います。
分生子は実に均等なテトラポッド型です。で、作りかけの分生子が左の写真です。
分生子柄の先端が、ふくらみを作り、そのふくらみから4本の枝が伸びる事がわかります。
さらによく見ると、分生子柄の先端がやや紡錘形になっているのがわかります。これは、アオカビなどと共通の特徴で、
分生子を出芽的に形成する細胞(フィアライド)なので、この分生子形成型はフィアロ型です。
枝分かれした分生子を作るもの
テトラポッド型でなく、ばらばらに枝を出した形のものです。
●Tricladium トリクラディウム
テトラキーツムの枝がずれて生えたような形です。これもアレウリオ型。
分生子から付属突起がでたような形のもの
はっきりした中心の部分があって、そこから突起がでたように見えるものです。
●Clavariopsis クラバリオプシス
円錐形の本体で、底の部分から3本の長い付属突起が伸びています。分生子柄には円すいの先端部で着いています。
これもアレウリオ型です。
付属突起ののびる様子を写真に撮れたので、出しておきましょう。
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鞭のような細長い分生子を作るもの
細長く伸びた形の分生子を作るものです。たいていはまっすぐではなく、立体的にくねっています。
●Lunurospora ルヌロスポラ
とてもよく見かけるものです。
三日月型で、分生子柄には外側の下1/3位でくっついています。これは、初めに柄の先に丸くふくらんだ細胞ができ、
そこから上の方と横の方へとがった突起が伸びてゆくことで作られます。アレウリオ型。
●Flagellospora フラジェロスポラ
こちらは、先のレモニエラと同様、アオカビのような枝先にいくつもフィアライドをつける、フィアロ型です。
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