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◆杉熊(すぎくま)



※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「北川」(昭和28.11)を使用したものである

所在:香美市物部町別府(ものべちょうべふ)
地形図:北川/北川
異表記:杉ノ熊(旧版地形図)
形態:山中に家屋群が集まる
離村の背景:(1世帯現住)
標高:約700m
訪問:2008年9月

 

 物部川の支流、杉熊川(杉ノ熊谷)の左岸斜面にある。古い地図では北側に2、3軒くらい、南側に1軒の建物が見られる。現住の民家(写真1)は南側に当たる。道は落合(おちあい)集落より尾根を登るものがある。なお最近の地図には、道・地名は疎か建物すらない(畑の記号はある)が、れっきとした民家があり住民がいる。登り口は、林道の先で会った林業関係者に教えていただいた。
 集落では、この地に40年くらい前(1960年代)に嫁いできた方が独りで暮らしている。話によると、この方の旦那さんで19代目。かつては7軒の家があり、この家の背後の山には廃屋や屋敷跡がある(写真2〜5)。多くの家が林業で暮らしており、林道沿いには杉熊営林署もあった。獣害がひどいので畑はなかった。戸数は少しずつ減っていき、いちばん最近降りていった家でも数十年前になる。道を付けてほしいと村(当時)に何度もお願いしたが、予算の都合で叶わず、さらには転居することを勧められるという。市町村合併で香美市になってからさらに状況は難しくなった。今でも5kgもあるガスボンベ(登り口までは届けてくれる)や食料、生活物資を背負って運んでいる。一度はボンベを谷に落としてしまい、火を噴いたそう。お姑さんに家が潰れないようにきつく言われ続けていたようで、今でも杉熊の家がなくなることをたいへん気にかけていた。今も独り家を守り続けている。いつだったか、テレビの取材があったそう。
 半田姓。

 


写真1 在住民家


写真2 廃屋


写真3 廃屋にて

写真4 倒潰家屋

写真5 屋敷跡

 

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