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◆慣合(なれあい)

在:静岡市葵区田代(たしろ)
地形図:塩見岳/大河原
アクセント:ナレアイ
形態:川の合流部に施設が集まる
標高:約1,720m
訪問:2020年11月

 

 大字田代の北部、中俣と小西俣(いずれも河川の名)が合流し、西俣(大井(おおい)川支流)となる場所にある。
 二軒小屋で伺った話では、東海パルプ株式会社(現・特種東海製紙株式会社)の西俣事務所があった場所とのこと。林業関係の建物が4棟あった。利用は昭和30年代半ば以降までであったと思われるが、40年以降も建物はしばらく残っていたという。なお明治後期以降より、小屋の類はあったのではないかとのこと。
 なお資料『大井川流域の林業』には井川(いかわ)山林(※)においての林業の歴史について詳しく触れられているが、当地についての記載はない。ただし「二軒小屋から西俣地区に10qの林道を開設、運材索道の併設と相まって西俣地区再開発を計画し、すでに林道は昭和42年に着工している」とあり、この「西俣地区」が当地のことと思われる。

 現在二軒小屋の北側でリニア中央新幹線の工事が行われており、悪沢と蛇抜(じゃぬけ)沢の間の尾根付近(柳平)まで車道が整備されている。ここから地形図に記された破線の道に取り付き、以後これを利用。崩落箇所も多いが時おり人が歩いている形跡もあり、ほとんど道から外れることなくこれを追うことができる。なお往時は西俣に沿うように林道が設けられていたようだが、このルートは何度か徒渉が必要となる(現地の手前でこれに合流する)。
 跡地は後年になり整地・植林されたのか、往時の痕跡は見られない。

 なお昭和45年・同51年の航空写真では4棟、同60年では2棟の建物が確認できる。
 また手元には大正2年・昭和32年・同44年の地形図があるが、いずれにも建物や地名は記載されていない。

※ 旧井川村北部の山林で、現在の特種東海製紙株式会社の井川社有林。江戸時代より木材の伐採が行われてきたが、大倉喜八郎(後述)が購入し林業に進出して以降隆盛となる

 


(写真1 地形図上の破線部の道)

(写真2 道中の新蛇抜沢崩壊地)

(写真3 西俣沿いの林道跡)

(写真4 何かの部品〔林道跡にて〕)

(写真5 集材機〔林道跡にて〕)

写真6 堰堤。慣合跡地は正面の尾根の先端

写真7 西俣と西俣川起点の看板

写真8 現地遠景

写真9 擁壁

写真10 跡地

写真11 同

 

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