この内容は、以前に地元の新聞に連載した時の記事です。ウォーキングに関して全般的
にまとめています。(愛須)
![]() | < 目次 > ・@ジョギングか?ウォーキングか ・Aエアロビ効果とは? ・Bリズムよく正しい姿勢で ・C適正運動量を心拍数で計る ・Dウエアについて ・Eシューズについて ・F水分補給について ・G森を歩こう |
■ジョギングか?ウォーキングか?
最近よく走っている人や、堤防を歩いている人をよく見かけるようになり
ました。
もともと「JOG(ジョグ)」は健康のために、とぼとぼ歩くとか、ゆっくり走る
という意味です。マイペースでゆっくり走るのがジョギングです。
人によってはジョギングのスピードがちょっと違っている方も見られますが、
田辺弁でいうと”ぼちぼち”走るのがジョギングです。
私の知り合いの中には、必ず毎日3度の食事をするのと同じように走らないとダメだとか、一度決め
たことは、どんなときでも続けなければならないと考えている人がたくさんいますが、私の経験からい
うと、やり過ぎが一番体に悪いようです。
また走ることは心臓に負担が掛かりますし、足首やひざや腰への衝撃も大きいので、故障しやすいの
も事実です。やはり、がんばりすぎるのは危険なようです。運動不足の人、肥満気味の人、体力の衰
えた人、中高年の人には最初から走ったり、いきなり町内会の運動会に出たりするのではなく、ウォ
ーキングの方が適していると思います。
初めは少しの距離を数分間、歩いてみることから始め、しだいに長い時
間を歩けるようにして下さい。
ウォーキングは長い時間続ければ、効果はジョギングと変わりません。
また足腰やひざへの負担が少
ないので、より続けやすいのも事実です。気負わずマイペースで自分の
やれる範囲で始めてください。
ウォーキングとジョギングの衝撃度の違いをみると、ウォーキングは体
重の1.1倍〜1.2倍。
ジョギングは同3〜4倍かかると言われています。
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■エアロビ効果とは?
エアロビクスというと、すぐに女性のレオタード姿が思い浮かびますが、
あれはエアロビクスダンスといい、エアロビクス運動の一つです。エア
ロビクスとは、たくさんの酸素を使いながら長い時間続ける運動のことで、
水泳やサイクリングやジョギング、ウォーキングなどがあり、トライアス
ロンやアクアスロンなどは、まさにその最たるスポーツといえます。
さて、そのエアロビクスは日本語で「有酸素運動」といい、心臓や肺など
呼吸、循環器系にあまり負担をかけずに、その能力を向上させるという
効果があります。
ところでエアロビクスの効果について、次の9つの点があげられると思います。
・肺の呼吸効果がよくなる
・心臓の機能が高まる
・血管の機能が向上する
・全身の血流がよくなる
・血圧が低下する
・防衛体力(免疫力)がつく
・ストレスが解消できる
・最大酸素摂取量を高める
・疲れにくくなる
大切なことは、年齢に関係なく、急に水泳やジョギングを激しくすると、心臓に負担がかかり
危険な
場合が多々あります。
あせらずに、ゆっくりと自分の今の体力にあった適度な運動を続けることが一番だと思います。
以上のことから言うと、ウォーキングはだれでも安心して手軽に始められるエアロビクス運動
だとい
えます。
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■リズムよく正しい姿勢で
前回、「ウォーキングはエアロビクス(有酸素運動)として効果があります」という
話をしましたが、今回は、そのやり方、特に姿勢について説明します。
やり方は至って簡単です。”背筋を伸ばして、あごをひき、急ぎ足で歩く”だけでO
Kです。
ポイントは次の通りです。
・背筋を伸ばす。
・肩の力を抜いて楽にする。
・あごをひく。
・目は前方を見る。(下を向いて歩いては背中が曲がるのでダメ)
・ゆっくり歩くときは、腕を曲げずにそのままに、早く歩く場合は、肘を90度に曲げて、前後に大き
くリズムよく腕を振る。
・足はひざを良く伸ばし、かかとから着地。(着地した時、かかとでブレーキをかけないように注意)
・左右の足の運び方は、直線になるように。
ところでウォーキングを気持ちよく続けるには、リズムに乗って歩くことが大切です。始める10〜
15分は
ウオーミングアップ(体をほぐす)をして、体の調子を確認しながら行います。徐々にリズムに乗っ
てきた
ら、軽く息がはずむほどの速度で歩く。
歩幅を広げ、一定のペースでウォーキング。何度も言いますが、自分のリズムで歩くことが大切
です。
またウォーキングの時間は、人によって異なりますので、何分ですとは言いにくいのですが、ま
た明日も
といった”腹八分目”くらいの「もうちょっとやりたいな」と感じるところが一番良いと思
います。
しかし山歩きやハイキングは、歩くスピードにはこだわらずに、周りの景色を満喫し、体の五感
を使いな
がら楽しく歩きたいものです。
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■適正運動量を心拍数で計る
健康のためにウォーキングやジョギングをしてはいるものの、果たしてその運
動量が自分にとって適正な運動量なのか知りたい人が多いのは事実です。
現在のスポーツ科学や生理学からいっても、必ず心拍数を測定するということ
が当たり前となっています。
心拍数は心臓がポンプとして働く回数を示すもので、一般的に脈拍といってい
ます。その脈拍数を計ることで、自分にとっての運動強度が分かります。
運動に対する心臓の適正は、年齢が高くなるにつれて低下し、最大心拍数(心
臓が一番がんばった時の心拍数で厳密には各人により違います。)が違って
きます。
図を参考にし、自分にとっての適正心拍数を測定して下さい。
最大心拍数は心臓の強い弱いにかかわらず、年齢によってある程度決まってい
ます。「220−年齢」が
ほぼその人の最大心拍数となります。運動中の心拍数は、最大心拍数の60〜75
%を目安にして下さい。
昔走っていただけで急に走ったり、日ごろ何もスポーツらしきスポーツをして
いなのに町内会の運動会で
いきなり強い運動をしたりすると、たちまち心拍数は最大心拍数に達してしま
い、血圧の上昇を招き危険
ですし、筋肉やアキレス腱などに大きな負担をかけてしまうのも事実です。
図の通り、70%ぐらいのウォーキングや運動の場合、最低15分は続けてくださ
い。
心臓が鍛えられてくると、心拍数が上がらず速度や強度が上がってきます。つ
まり続けることで安静時の
心拍数が低下し、心臓が強くなっていきます。毎回言っていることですが、効
果を急ぐとけがのもとです。
あせらずゆっくり、のびのびした気分で続けましょう。
○理想心拍数の目安
年齢 (歳) | 最高心拍数 (220-年齢) | 理想の心拍数 (最高心拍数の60〜75%) |
---|---|---|
20 | 200 | 120〜150 |
25 | 195 | 117〜146 |
30 | 190 | 114〜142 |
35 | 185 | 111〜138 |
40 | 180 | 108〜135 |
45 | 175 | 105〜131 |
50 | 170 | 102〜127 |
55 | 165 | 99〜123 |
60 | 160 | 96〜120 |
65 | 155 | 93〜116 |
70 | 150 | 90〜113 |
■ウエアについて
ウォーキングやジョギングの服装で重要なことは、季節によって多少異なります
が、発汗をできるだけ助ける事です。夏場なら、日射病を避けるため、帽子の着
用を忘れてはだめです。
ウエアは通気性のよいもので、少々ゆったりしたものを着用するとよいと思います。
また寒い時期も同様に発汗性のあるウエアを選んでほしいものです。まずウオー
ミングアップと保温のための服装が必要です。特に顔や耳、手に対する保温を心
がけるようにしてください。
寒い日にはウインドブレーカーやヤッケなども有効かと思います。
また、早朝や夕刻、夜に歩いたり走ったりする人は、明るい目立つ服装で事故防
止のための反射材のついた反射ベストやタスキがよいと思います。
通行量の多い道路でのウォーキングやジョギングには、そのほかにジョギング用
ライト(自ら発光するライト
で、腕や腰に着けられる)があれば、より安心して続けられると思います。
また、この服装でなければ歩いたり走ったり出来ません!というようなことはま
ったくありません。
基本は動きやすい服装です。最近はスポーツウエアもますますファッショナブル
になっています。
ウエアからはいって楽しむのも一つの手かもしれません。
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■シューズについて
前回ウエアのお話をしましたが、今回はシューズの話です。特に歩いたり走った
りするスポーツでは、シューズ選びは大変大切なことです。自分は23.0cmだから、
23cmのシューズを他人に買ってきてもらったりする人をよく見ますが、これは大
きな間違いです。
例えば、オリンピックで○○選手が履いていたシューズだから、これはよいシュー
ズだとか、新製品で大変軽量化してつくっているとか、○○店で一番高い靴だと
かは、たいして重要なポイントではありません。
一番大事なのは、そのシューズが自分にあっているかということです。その為には、
自分の足の特性を知る
必要があります。例えば、親指が一番とびだしているとか、つま先が上を向いているとか、外反母趾(がいは
んぼし)であるとか、甲が高い、幅が広いかを知ることにより、そのシューズを見たで自分に適し
ているか、い
ないかはすぐに分かるはずです。
それらのことをふまえ、次にシューズ選びのポイントを書いてみました。
・フィットしているか。左右両方必ずはき、立ってみてください。両足のシューズをはき、立ってみて、
きつすぎず、ゆるすぎずです。
・捨て寸が10ミリ〜20ミリあるか。つま先の余裕があるか、または、親指のつめと靴の間にすき間
があるか(10〜20ミリ)チェックしてください。指先が当たっている靴を長く履くと、爪を痛め外反母
趾の原因にもなります。
・甲の高さは合っているか。甲が押さえられていると、すぐに痛くなり、うっ血や炎症の原因となりま
す。軟らかくて柔軟性とゆとりのあるものを選んでください。
・足幅と靴幅が合っているか。この部分があっているかどうかが、その靴の履き心地が良いか悪
いかです。また足の疲れと関係してきます。
・土踏まずが合っているか。この部分が圧迫されると足がしびれ、逆に隙間がありすぎると疲れの
原因となります。ソフトにフィットしたものが良いと思います。
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■水分補給について
マラソンやウォーキング、登山にかかわらず、スポーツ全般的に運動中の
水分補給バテてしまうので、だめな事だと思っていました。ですから炎天
下で汗をかいても、水を飲む事は我慢したものです。
のどの渇きは、体が水分補給を欲しがっている信号です。あまり我慢し過
ぎると体の中の水分が足りなくなり、体温調整が崩れて、日射病や熱疲労
で倒れてしまう事になります。
そうなると、水をガブ飲みしてしまうのですが、適宣水を補給してやりた
いものです。ただし、少量ずつというのがミソです。
成人が一日に摂取している水分は、2.6リットルにもなるといいます。
その62%は尿や大便としてトイレヘ。残り38%のうち23%は皮膚から、15%は呼吸によって排出
されて
います。
私たちが、普段何気なく取っている水分は、体温調整をはかるうえで、大切な要素となっています。
夏場の暑い時期には、少しずつ水を飲む事が大切です。
特に夏の炎天下でのウォーキングは暑さの対処法をいいかげんにすると、とんでもないことになります。
日射病や脱水病など真夏の運動中の事故は、正しい対処法を行っていれば防げる事が多いのです。
頭痛、めまい、吐き気、だるい、熱がある、目がかすむなどの症状が出たら要注意です。”日射病”か
もしれません。急激に悪化する場合もあるので、くれぐれも注意してください。「おかしい!」と思ったら
日陰に入り、水分補給し、少しでも風を当てて下さい。
それでもだめな場合は、あおむけになり、頭を動かさないようにして、体や顔に水をかけてみて下さい。
ひどいときは医者を呼びましょう。
何度もいいますが、たとえ20〜30分ぐらいのウォーキングでも、または太陽が出ていない夕方や夜で
も同じように水分補給を少量ずつ行って下さい。
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■森を歩こう
総理府がこのほどまとめた「体力、スポーツに関する世論調査」(昨年
10月)によると、20歳代の4人に1人がウォーキングや散歩を楽しん
でいると答えた。
その割合は人気スポーツのスキーや水泳に肩を並べるまでに成長し
ました。
しかし、ウォーキングといえば中高年のスポーツというイメージが強く
若いうちは走らないとダメだと思いこんでいる人が多いのも事実です。
エアロビクス運動の効能を正しく理解すれば、老若男女すべての人
が健康になれるのがウォーキングです。
また最近、登山やハイキングが流行してきています。これもまたウォー
キングと同様に初めは健康
のためにと義務感をもって続けているうちに楽しみとしてのウォ
ーキングや登山となってくるもの
です。
月に1回や2回は森の中(山の中)を歩いてください。森林内での
歩行は、平地での歩行に比べ疲れ
がたまりません。
傾斜のあるところは歩幅をやや狭くし、呼吸に合わせた歩行を心
がけてください。ペースとリズム
を一定にするのが長距離を歩くコツです。
景色のよい場所でのエアロビクス運動は、それ自体が健康づくり
の一環となるものです。自分の体
力と気分に合わせて、楽しくのんびり自由に歩いてください。
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