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南方熊楠資料研究会の終了について

 南方熊楠資料研究会は、南方熊楠旧邸(和歌山県田辺市)の所蔵資料の調査・整理および目録作成を目的として発足しました。当時の所蔵者であった故南方文枝氏の委託を受け、田辺市によって設立されていた南方熊楠邸保存顕彰会と熊楠研究者グループの協議のもとに組織され、一九九二年夏から活動を始めています。調査の参加者については、当初から所蔵者および顕彰会のご意向に基づく制約があり、また、調査継続中は、保全のため資料を一般には非公開とすることを原則としていました。  所蔵者の南方文枝氏が二〇〇〇年に亡くなられたのち、南方旧邸と邸内のすべての資料が田辺市に寄贈されました。これらの資料は、旧邸の隣地に田辺市が設立する南方熊楠顕彰館(二〇〇六年開館予定)での一般公開が予定されています。

 南方熊楠資料研究会の十年をこえた調査の成果は、二〇〇四年八月に刊行された『南方熊楠邸蔵書目録』と、二〇〇五年春に刊行される『南方熊楠邸資料目録』に集約されています。二冊の目録が公刊されますと、南方熊楠資料研究会は、当初の目的を果たし、活動を終えることになります。

 他方南方旧邸資料個々の調査・研究については、田辺南方熊楠翻字の会、東京南方熊楠翻字の会、関西南方熊楠研究会(研究短信欄をご参照ください)が、すでにそれぞれの場所で活動を開始しています。これらは、田辺市のご理解とご協力のもと、熊楠に関心を持つ人びとが自由に参加できる研究会の試みとしておこなわれています。

 この『熊楠研究』は、南方熊楠資料研究会の編集、南方熊楠邸保存顕彰会の刊行で、一九九九年以来毎年一冊刊行されてきました。今号で七号となりますが、南方熊楠顕彰館の開館される二〇〇六年刊行の八号までは、現在の編集委員が編集することになっています。

 当初予想した以上に長い期間にわたる調査となりましたが、この資料整理で得られたものは大きく、南方熊楠顕彰館での資料公開によって、南方熊楠の研究が飛躍的に進むことを確信しています。

  二〇〇五年三月        南方熊楠資料研究会