◆梶畑(かじばた)
※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「鹿野」(昭和22.2)を使用したものである
所在:岩国市錦町広瀬(にしきまちひろせ)
地形図:周防広瀬/鹿野
形態:川沿いに家屋が集まる
離村の背景:災害
標高:約210m
訪問:2019年8月
大字広瀬の中部、木谷川(錦(にしき)川支流)の左岸にある。
県道沿いに看板が設置された平坦地があるが、ここがかつての屋敷跡と思われる。小さな支流を挟んだ西側には地蔵と「梶畑地蔵記録」の碑を納めた祠(写真2)がある。後方の石垣は農地跡か。
資料『木谷雑記』によると、古くは4戸。昭和26年のルース台風の際に潰滅し、中学生と幼児を残し16名が死亡する惨事となった(このとき3戸18名)。集落手前の石仏(写真4)は、昭和54年1月、雪により川に転落死した人の慰霊のためのものであるという。
町史が引用する「郡中大略」(安政2〔1855〕年)によると、「鍛冶畑」の表記で当時の戸数は7戸。
以下は現地の「梶畑地蔵記録」の全文(■は当方による伏字)。
昭和二十六年(一九五一)十月十四日前日来の四九九ミリの降雨に由る梶畑谷の増水と水路上の山崩れが加わり三戸の上部は流失し圧死十三名行方不明一を出す大惨事となりました。被災者は
石見■■ ■■ ■■ ■■
田中■■ ■■■ ■■ ■■
下森■■ ■■ ■■ ■■■ ■■ ■■
田中■ 石見■■■は助かりました。
平成十三年(二〇〇一)十月
被災者親族一同
なお「角川」の小字一覧には、広瀬所属の小字として「上梶畑」(「梶畑」に「カジバタ」のルビ)・「下梶畑」が見られ、見出しの読みはこれに拠った。
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