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◆中津開作(なかづかいさく)



※ この地図は、内務省地理調査所発行の1/50,000地形図「岩國」(昭和22.2)を使用したものである

所在:岩国市三角町(みすみまち)一丁目
地形図:岩国/岩国
形態:三角洲の川沿いに家屋が集まる
離村の背景:軍による接収・災害
標高:数m
訪問:2017年8月

 

 旧市域の東部、錦(にしき)川河口付近にある。中津地区の干拓地に形成された集落。現在は岩国基地の用地内で、門前(もんぜん)川(錦川分流)左岸の川沿いに当たる。
 市史によると、一帯の開発は1,600年代(寛文以前)〜元治年間。初期は家臣や農民が個人的に小規模に開拓を行っていたが、元禄年間より藩営の開拓も行われるようになる
。17世紀末以来干拓事業は久しく行われなかったが、18世紀末に再び着手されるようになった。開作地としては山県開・井上開(寛文頃)、平太川新田・佐々木開(元禄年間)、宮庄開(寛政頃)、御殿開・香川開(文化年間)、川平開・沖ノ手(おきのて)開・残地開(天保年間)、南新開(元治年間)などがあり、住宅地は「中津開作」の表記付近は川平開・南新開、「沖ノ手」の表記付近は沖ノ手開・残地開に当たるよう。
 また資料『川下地区の干拓と災害記録』によると、海軍飛行場が建設されることにより昭和13年に第一次、同16年に第二次の移転が行われたとのこと。さらに昭和17年8月の台風により、多数の世帯が罹災し移転した。
 以下は移転時期ごとの家々(台風に伴う移転は調査可能であった世帯のみ。掲載順。元住所に「中津開作」とあるものを抜萃)。

・昭和13年…土肥・長・中村・明田・末岡・川村・室重・永井・有福・村川・山県・水本・松本・沖村・市岡・村井・山田・村川
・昭和16年…(車開作のみ)
・昭和17年以降…中村・岩中・岩中・河合・原田・河邑・角谷・山田・岩中・沖本・大溝・吉田・水本・藤岡・市岡・上村・上村・上村・芦川・嶋田・森中・大溝・長・永井・有福・室重・川村・中村・中本・田中・大溝・弘本・明田・土肥・中村・有福・中村・市川・吉田・沖村・米村・米村・佐郷・吉田・市川・柳原・鈴川・兼重・村中・木村・長・森本・室重・中村・柳原・山田・芦川・中本・山口・上村・藤中・有福・上村・高崎・山県・村重・村重・森川・市川・村岡・増富・村上・柳原・沖中・紀村・沖村・河村・宮崎・岩本・沖村・末岡・松本・横田・宮崎・清水・牧・御手洗・山県・守川・岸本・村川・竹中・吉岡・村川・上田・広本・古川・佐郷・森本・森田・村井・森川

 なお昭和15年、海軍飛行場に岩国海軍航空隊が開設。昭和20年に米軍により接収され現在に至っている。

 


写真 集落跡方面を望む(対岸)

 

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