◆入浜（いりはま） ※　この地図は、国土地理院発行の1／25,000地形図「厳島」（昭和45.9）を使用したものである 所在：廿日市市宮島町（みやじまちょう） 地形図：厳島／厳島 形態：谷沿いに家屋が少数集まる？ 標高：約10〜20m 訪問：2022年11月   　厳島（いつくしま）（宮島）の東部、鷹ノ巣浦（たかのすうら）と腰細浦（こしぼそうら）の間に位置する浦（※）。 　島内の多々良潟（たたらがた）や大砂利（おおじゃり）と同様、当地には戦後の食糧増産のために集落が開拓された。論文「宗教観光都市の共同規制：宮島の人と社会谷」によると、江田島（えたじま）・能見（のうみ）出身者ら14世帯が入浜・大砂利・樫木浦・藤ヶ浦に入植し、「江田島地区」と呼ばれるようになったという。開拓団が宮島の浦々に一斉に入植したのが昭和21年5月で、およそ70人に対し土地は38町歩ほどであった。入植者数に対して土地が少なかったこともあり、昭和23年に宮島開拓農業協同組合が設立される頃には48世帯に整理された（多々良潟住民への聞き取り）。 　なお厳島では古来より「神の島」として農耕は禁止されていたが、戦後の食糧不足の解消のために入植が行われることとなった。 　かつての農地は広く金網で囲われ、内部を窺い知ることはできない。1970年代の航空写真には3本の谷筋それぞれに建物が見られ、うち1箇所は管理された土地、1箇所には管理された家屋が建てられている。 　なお浜には鷹ノ巣浦から移設した鷹巣浦神社が鎮座する。嚴島神社のウェブサイトによると、鷹巣浦神社は島の浦々に鎮座する末社である「七浦神社」のひとつで、第2拝所とのこと。 ※　上の地図画像では「鷹ノ巣浦」となっているが、正しくは鷹ノ巣浦はこの北東に位置する海岸のことを指す（後の版では修正）
写真1　案内看板	写真2　湿地（地形図の水域）
写真3　管理された土地	写真4　農地跡の一部。人為的にヤシ類（フェニックス？）が植えられている
写真5　建物跡	写真6　炭焼き窯跡
写真7　鷹巣浦神社	写真8　浜からの風景。左は沖美方面、小島は小黒神島（こくろかみじま）