◆片川(かたこう)
※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「龍神」(昭和28.7)を使用したものである
所在:十津川村小山手(こやまて)
地形図:重里/龍神
形態:山中の道沿いに家屋・家屋群が散在する
離村の背景:(1戸現住)
標高:本文参照
訪問:2007年10月
村の西部、西(にし)川支流の片川左岸の斜面にある。斜面には南北1.0km、東西0.8kmにわたって環状の山道があり、散在する家屋群や家屋を結んでいる。
最近の地図では、この道に沿っていくつかの建物が記載されているが、実際には建物がなかったり記載されていない場所に家屋があったりする。道沿いの畑や荒地の記号は、ほぼかつて家々があった址と考えていい。
現住の民家(写真1)は標高約450m。奥片川バス停のすぐ近くにある。この家の方はかつて上に住んでいたが、家主から現在の家を借り、道路に近いここに移り住んだ。峯廻(みねまわり)姓のほかに「ヒガシ」姓、「フクイ」姓があったという。裏手を少し登ると、空家(写真2)が2軒ほどある。(以降右回りで順に説明)
標高520〜530m付近の緩やかな尾根の傾斜地に屋敷跡(写真4)が2、3箇所ほど。耕地の跡も見られる。最近の地図で尾根の先端に建物の記号が記載されているが、実際にはない。ワイヤーやドラム缶が放置されており、ここで物資の運搬が行われていたか。
ここから350mほど進むと倒潰家屋があり(写真5・6)、最近の地図にも家屋が記載されている。
ここから100mほど東の山側に廃屋(峯廻姓)(写真7・8)があり、つい最近植林が施された様子。外見・内部からは想像もできないが、少なくとも平成2年までは住民がいたよう。電線もつながっている。近くには墓地がある。敷地からの眺めはとても良い。
ここから750mほどで住宅がある(写真9)。かなり不便な場所であるにもかかわらず、最近まで人が住んでいたよう('93年の電話帳があり、転出は少なくとも平成1桁か)で、比較的新しい電線もつながっている。最近の地図では畑で表されている。標高は620mほど。枋屋(きとや)姓。バイクもあり、かつては片川沿いの道からここまで走れたよう。
ここから350mほどで多少開けた土地がある(標高約610mで、集落では最高地)。物資運搬用のワイヤー・支柱が残っており、バイクも放置されている(写真10)。また東側の尾根上には神社(標高700m)があるが、この神社への分岐の道もある。なお、これより標高は下がっていく。
ここから500mほどで家屋群がある(標高520〜550mくらい)。最近の地図でも2軒の建物が見られる。廃屋が2軒、ほかにも屋敷跡と思われる敷地がある。1軒には比較的新しい電線がつながっており、天井は一部きれいに改修されている。退去は平成に入ってからか。付近の道沿いに墓地(峯廻姓)がある。
ここから500m、南側の登り口からほどない距離に1軒の廃屋があり(標高450mくらい)、上手には墓地(山本姓・上坊姓)下手には石垣で段々になった耕地の跡・形を留めた炭焼き竈(写真13)がある。廃屋から道路までは、丁寧に作られた石段が続く。
資料『十津川の地理』によると、昭和34年13戸101人。
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