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◆西島（にしじま）町
※ 明色部（凡その範囲であり、必ずしも正確に表しているものではない）
※ 範囲は昭和16年・同29年・同33年の都市地図に拠った
※ この地図は、大日本帝国陸地測量部発行の1／20,000地形図「大阪西北部」（明治44.10）を加工し使用したものである
所在：大阪市西淀川区西島（にしじま）一丁目
地形図：大阪西北部／大阪西北部
形態：三角洲の川沿いに家屋が集まる
標高：数m
訪問：2022年12月
西島地区の東部、西島川右岸沿いにある。
区史によると、元禄11（1698）年に九条の池山新兵衛信賢が開墾した新田で、佃（つくだ）・大和田（おおわだ）の西に位置する島であることから西島新田と命名されたとのこと。
新田開発の初期（1600年代前半〜）は未利用の既存の島や海浜を開拓したものであったが、元禄時代前後になると満潮時に水没する砂洲を築堤で囲んで干拓するものに変わっていった。「新田開発の推移」より、西島はこの時期に開発が行われたことが分かる。
行政区としては、初め西成（にしなり）郡西島新田。明治22年4月1日、西成郡川北（かわきた）村大字西島となる（※1）。大正14年4月1日大阪市に編入し、西淀川区西島町となる。昭和34年酉洲（とりしま）町・矢倉（やぐら）町・出来島（できじま）町の各一部を編入（※2）。昭和47年2月1日、西島一丁目・二丁目となる。
昭和9年9月の室戸台風の際には、布屋町・中島（なかじま）町・外島町・西島町の堤防が決潰し、浸水は矢倉町・酉洲町も含め一帯の町全域に及んだ。昭和25年9月のジェーン台風では、戦前から始まっていた地盤沈下もあり西島では水深2.4mまで浸水。
「角川」によると、明治9年人口253人。同24年45戸235人。
※1 ただし「角川」では、明治22年から43年までは大字西島新田、明治43年から大字西島とある
※2 「角川」より補足
江戸時代に開拓された一帯の新田では、米を主体として麦・大豆・蔬菜類が栽培され、ほか棉や菜種・藍なども少数ながら生産されていたとのことで、当地でもほぼ同様であったと思われる。臨海の低地であるため高潮により農作物が流失するなど苦難が多かったよう。
昭和初め頃から川北地区では土壌の塩分が増加したため、西島や中島では昭和12年頃までは主に瓜が栽培されるようになる。スイカ・甘藷・ネギなども栽培されていたが、ジェーン台風により農家数は激減した。
西島住吉神社の由緒（後述）によると、当地の農家高石氏が鉄鋼業の将来性を予期し、大正年間に生家に伸鉄工場を設立（合同製鐵株式会社の全身）とあり、当地の工業地化の発端となったよう。
なお洲の北端には大正10年から昭和44年まで川北小学校が置かれていた（下の「画像」）。校地のあった一帯は出来島新田（のち出来島町）に由来しているが、西島町を所在とする情報も見られる（※3）。先述の、昭和34年に編入された部分であったか。
以下は区史および小学校のウェブサイトより同校の大まかな沿革。
| 明治6.3.3 |
西成郡第五区九番小学校開校。中島新田の了願寺本堂を間借り |
| 大正10.11 |
現在の西島一丁目の北端に移転 |
| 大正14.4 |
川北尋常高等小学校となる |
| 昭和9.9.21 |
室戸台風により校舎倒潰 |
| 昭和13.6 |
校舎再建（鉄筋3階建て） |
| 昭和16.4 |
川北国民学校となる |
| 昭和22.4（※4） |
川北小学校となる |
| 昭和25.9 |
ジェーン台風により1階部分浸水 |
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昭和34.3 |
出来島分校開校（昭和39年独立） |
| 昭和36.9.16 |
第二室戸台風により床下浸水 |
| 昭和44.1 |
中島町の現在地に移転（1階ピロティ式の4階建て） |
同校は台風や戦後の工業化に伴う地盤沈下で、浸水被害が多かったよう。
※3 昭和16年・29年・34年の都市地図では、現在の西島一丁目北部は西島川を挟んで出来島町の町域となっている（340番地付近）。同様に、区史の「大阪湾岸の新田」の図では、出来島新田の範囲は当該地域を含めた形状をしている。なお区史では学校の移転について「西島から中島へ全校移転」という表現が用いられ、川北小学校のウェブサイトでは大正10年11月「西島町旧校舎に移転」としており、また「wikipedia」でもこの地を「西島町527番地」としている
※4 当方による修正。ウェブサイトでは昭和21年だが、新制小学校への移行は同22年
かつて人家が建ち並んでいた場所は、現在は工場や企業の施設が建ち並ぶ一角となり、往時の面影はほぼ皆無。旧版地形図では住宅地の北端には神社があるが、ここには現在も西島住吉神社が鎮座している。由緒を記した看板によると、開発の折にこの地の守護神として勧請されたとのこと。明治42年合祀令により五社神社に合祀されたが、昭和22年正遷宮祭が執り行われ元の鎮座地に遷座した。平成20年改修。
川北小学校跡は、現在はリサイクル業者の土地となっている（写真8）。
なお昭和23年の航空写真では、矢倉町に接する南西部（ほぼすべて農地）が堤防を残して水没しており、水田と思われる区劃がうっすらと確認できる。また同41年のものでは、かつての布屋町一帯で排水・埋め立てが始まっているものの当地は水没したまま（ただし矢倉に突堤が築かれている）。同46年のものでは、ようやく埋め立て工事が進んでいることが窺える。
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