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◆菊水(きくすい)



※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「鶴來」(昭和34.10)を使用したものである

所在:金沢市菊水町(きくすいまち)
地形図:鶴来/鶴来
異表記:後谷(うしろだに・うしろたに)(旧称)
形態:川沿いに家屋が集まる
離村の背景:ダム建設(非水没地)
標高:約300m
訪問:2011年8月

 

 市の南部、内川右岸にある。
 現在も改築されたいくらかの家屋が見られ、訪問時も多くの人を見かけることができた。往時の建造物も僅かながら残っている。神社(八幡神社。写真5)の跡地には碑が建ち、布市神社へ合祀されたことが分かる(平成14年?)。
 訪れていた方の話では、かつては5、60軒。無住になったのは昭和47年頃だという。炭焼きが主な生業。米の収穫は少なかった。集落には願念(がんねん)寺の道場があった。現在は数組が時々戻り、畑仕事をしたり余暇を過ごしたりしている。
 また『内川の郷土誌』によると、「菊水」の由来は内川の上流に菊の群棲地があることによるという。主な産業に、以下のものがあった(一部)。

・製炭…主要産業
・養蚕…明治初年より。大正期には村の半数の家が従事
・紺屋灰製造…染色に用いる材料。
村の9割が従事していたが、明治中期に西洋の染色法が導入され衰退
・くず粉製造…14軒が従事。大正期には衰退

 以下は刊行当時(昭和40年代半ば)の各戸の様子(下流側より)。

  屋号
1 川崎 ひちやいも
2 水渕 ごよも
3 下田 じろ
4 水谷 太右衛門
5 大谷 いちよう
6 木戸 七郎衛門
7 水上 しんべえ
8 中西 さじべい
9 野村 よしべい
10 山村 ごろべい
11 小村 よじろ
12 水内 やちよう
13 吉田 とよもん
14 村本 またはち
15 坂上 ただいもん
16
17 小西 こざ
18 こざあじち
19 奥田 次郎平
20 中西 えさを
21 川口 作平
22 川島 五平
23 宮崎 仁兵衛
24 豊島 九兵衛
25 岡本 孫兵衛
26 小西 はしば分家
27 山岸 ざんじや

 ほか明治5年には上記の家のほか、中村5・林2・水渕2・山口2・荒木・大谷・大西・岡本・川崎・北原・北村・倉木・坂田・谷口・鶴賀・徳田・富島・富山・中野・西川・長谷川・馬場・村井・村上・村中・村本・山形・山田・山村・吉田各1の家々があった。これらは北海道・金沢市・鶴来町【現・白山市】へ転出したものが多い。

 また以下は「角川」と現地の碑より小学校の沿革。

 明治11.2  到芳小学校巡回授業所設立
 明治20  簡易科後谷小学校となる
 明治25  後谷分校となる
 昭和29  菊水分校と改称
 昭和47.11  閉校

 なお中学校が昭和22年4月創立、同40年5月本校に統合。

 「菊水町」は近世の石川郡後谷村。明治22年犀川村の大字後谷となり、昭和29年金沢市菊水町となる。明治22年49戸350人、昭和45年27戸73人(角川)。

 


写真1 廃屋

写真2 屋敷跡

写真3 屋敷跡の碑

写真4 学校跡

写真5 神社跡

写真6 標柱。「菊水 旧後谷」とある

 

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