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本山(ほんざん)



※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「足尾」(昭和21.11)を使用したものである

所在:日光市足尾町本山(あしおまち―)
地形図:足尾/足尾
形態:川沿いに家屋や施設が集まる
離村の背景:産業の衰退
標高:約700〜800m
訪問:2005年・(2009年)・2019年5月

 

 渡良瀬(わたらせ)川の支流、出川(でがわ)に沿う。足尾銅山の本山坑跡・旧製錬所がある地域。古い地図では、地区の入口から左岸沿い約1.5kmにわたって建物が密集している。右岸には坑口と9軒の建物が見られる。また鉄道(旧国鉄足尾線・現わたらせ渓谷鐵道)が地区の入口まで延びており、足尾本山という駅もあった(現在の終点は間藤(まとう))。ただし、間藤から先は貨物専用の路線だったよう。
 最近の地図でも、右岸には本山坑跡付近に4軒の建物、左岸には広い荒地や神社も見られ、地区の入口付近には「旧製錬所」と明記された建物がある。
 左岸の荒地に行ってみると、多くの敷地が段々になって残っていた。うちひとつは公衆浴場と見られ、大きな浴槽のようなものが草に埋もれていた(写真3)。さらに沢に沿って道を進むと、倒潰家屋が残る(写真4)。朽ちかけた木橋(写真5)で沢を渡り、さらに進むと石段と灯籠がある(写真6)。登った先はグラウンドのような場所で、地均しのローラーが残されていた。左側の斜面には道が続いており、途中で不明瞭になるがここを登りつめると神社がある(写真7)。
 足尾町本山1番地は旧精錬所。2番地は旧住宅地にあたる。
 足尾銅山は1973年に閉山。しばらく製錬事業は続いたが現在は休止状態

 2019年再訪。前回は探索しなかった街区の西側にも足を延ばしたが、特に目立った遺構は見られず。神社は健在だが、グラウンドに通じる道の木橋は既に落ちて久しいよう。
 以下は街区入口にある説明板より。


 閉山直前の本山ようす 本山は、本口坑・たかの巣坑の開削につづき、明治17年(1884)に有木坑(本山坑)が開発されると同時に、鉱業所・選鉱所・製煉所(表記ママ)・医局などの施設がおかれ、その後火力発電所や本山小学校の前身となる学校が設けられたりして、名実ともに足尾銅山の中心として大きく発展し、足尾は日本一の銅山となったのです。
 明治40年に、本山の労働争議をきっかけに、鉱業所が掛水へ移りましたが、本山は北部地域最大の集落に形成されました。しかし、昭和48年(1973)2月28日に、足尾銅山が閉山となり、本山には、そのとき138世帯477人(10年前の昭和38年4月には)、290世帯1167人)が住んでいましたが、その年の8月に遂に無人となりました。
 今は、鉱山神社がぽつりと、“つわものどもの夢の跡”を見守っているだけとなりました。


 また以下は神社の説明板より。


 日光市指定史跡 本山鉱山神社 日光市指定有形文化財(建造物) 本山の山腹にあり、明治二十二年に抗長(※)(古河鉱業株式会社足尾鉱業所長)木村長七以下、本山抗(※)に働く鉱員達の寄進により造営されたもので、足尾銅山の山神社としては、最古のものである。鉱山神社はふつう山神社といわれ大山祇命、金山彦命、金山姫命の三神を祀ってある。
 昔は本山抗(※)のかたわらに小祠としてあったのを、ここに新たに神社を建設して移したもので、本殿は流れ造りである。
 山神祭が毎年行われ、足尾銅山の盛時には、盛大に行われた。

 昭和五十二年三月 日光市教育委員会

※ 表記ママ

 


写真1 旧精錬所と渡良瀬川(以下2005年撮影)


写真2 旧精錬所の施設と赤倉(あかくら)の集落


写真3 浴槽(職員家族浴場)


写真4 倒潰家屋


写真5 学校および神社方面への橋


写真6 灯籠と石段


写真7 神社


写真8 説明板(以下2009年撮影)


写真9 街区入口(写真3と同じ場所)

写真10 何かの施設跡

写真11 旧精錬所と渡良瀬川(以下2019年撮影)

写真12 病院跡?

写真13 アパート跡の登り口

写真14 アパート跡(左)と電車修繕場(右)

写真15 橋と対岸の風景。対岸には本山坑があり、詰所・浴場・音楽堂などがあった

写真16 街区入口(写真9と同じ場所)

写真17 敷地入口の橋

写真18 同

写真19 浴槽(職員家族浴場)

写真20 同

写真21 敷地入口(橋が落ちている)

写真22 遺構

写真23 倒潰家屋(写真4と同じもの)

写真24 住宅群跡地の風景

写真25 水道設備

写真26 建物跡

写真27 電柱

写真28 便所跡

写真29 何かの遺構

写真30 道

写真31 住宅跡

写真32 道と石垣

写真33 住宅跡の遺構

写真34 鳥居

写真35 灯籠と石段(写真6と同じ場所)

写真36 碑。「敬神愛國」とある

写真37 灯籠

写真38 グラウンド

写真39 整地ローラー

写真40 灯籠

写真41 社殿建築献金之碑

写真42 参道の石段。左上は「奉納 山神社」とある

写真43 神社。拝殿(写真7と同じ)

写真44 同。本殿

 

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