◆浜(はま)
※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「松島」(昭和21.11)を使用したものである
所在:東松島市みそら一丁目・二丁目
(2020年12月までは東松島市大曲(おおまがり))
地形図:小野/松島
形態:海沿いに家屋が集まる
離村の背景:災害
標高:数m
訪問:2023年5月
大字大曲の南部、定川の河口付近で、石巻湾に面した集落。平成23(2011)年3月の東日本大震災により被災した。
東部の下浜と、西部の上浜に大まかに分かれている。資料などを見る限り、一般的には大字名を冠した「大曲浜」での呼称が多いよう。
現在は上浜・下浜ともに産業団地として分譲され、更地の中に様々な業種の事業所や施設などが建ち始めている。また太陽光発電の用地となっている部分も多い。また上浜の一部は矢本海浜緑地として整備され、市民の憩いの場となっている。緑地内には避難築山が設けられており、海抜は8m。
以下は公園内の説明板より。
定川の蛇行する様を表したものが大曲の地名の由来で、明治15年に開削された北上運河により水運の大動脈となり、大曲の浜を中心に賑わいのある集落が形成されました。
昭和42年に、釜入江を掘削した石巻工業港が開港し、周辺工業用地には以前より北上川の豊富な水を活用して進出していたパルプ産業に加え、飼料、合板等の多くの事業所が進出。大曲浜は交通の便の良さ等から住宅地、産業用地として石巻都市圏の発展を支える地区となっていました。
(以下略)
また浜地区の戸口は、平成23年2月時点で568戸1,679名。被害状況は、建物の全壊1,123棟、大規模半壊5棟、半壊4棟、257名が犠牲となった。
往時の航空写真より、県漁協矢本支所・保育所・地区体育館・児童公園・集会所といった施設があったことが分かる。また運河には下浜橋・福殿橋・上浜橋が架かる。
資料『東松島市東日本大震災記録誌』によると、大曲地区の中でも著しい被害があった地区であったとのこと。非常に平坦であるため、緊急時に全住民を収容できる避難場所を設ける適地がなかったことが言及されている。第1波の浸水高は5.77mであった。
住宅地の整備については将来的に大津波に対しての人的被害を防ぐことがきわめて困難であるとし、住民の集団移転を推進するとある(発行は平成26年)。
「河北新報」(オンライン版)によると、2021年3月、移転跡地に市が整備を進めていた産業用地「みそら工業団地」が完成。これは被災市街地復興土地区画整理事業により2015年より整備開始されたもの。
また当地一帯の住所が「みそら」に変更されたのは2020年12月末。大曲浜の海や白砂青松、隣接する航空自衛隊松島基地の曲技飛行チーム「ブルーインパルス」、地区から見上げる空をイメージし名付けられたとのこと。
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