【 椎茸のうま味と薬効】

◎グアニル酸を含む戻した干しシイタケに、昆布のグルタミン酸、さらにお肉のイノシン酸を加えると「うまみの相乗効果」によってさらに倍増します。食材を砕いて細かくして、さらに蒸すことによってイヤな臭いを揮発させて、ハンバーグ等に調理するとほぼ全員が「うまみ堪能、納得」で食べてくれるでしょう。

◎調理前に椎茸を「そのまま丸ごと」で水戻しした場合は、グアニル酸値は160ミリグラム。砕いたものの加熱後の値は「180ミリグラム」という結果が得られました。これは戻しの際に水に浸けておく時間が短ければ短い程、リボ核酸の消費を抑えることができるためであり、時間短縮とうまみ成分が多いという2重のメリットがあります。

◎椎茸の軸の有効利用として、乾燥のまま葉と分離した後に「製粉器=ミル」で粉にし出汁成分として使用すると良い。

◎味覚は、甘い、酸っぱい、塩からい、にがい、からいの五味ですが、日本では、この五味の他に「うまみ」があり、この「うまみ」こそ料理の真髄と考えてきました。 日本では、古代からカツオの煮汁、カツオブシ、干しシイタケ、煮干し、昆布など、色々なものが「うまみ」の材料として使われてきましたが、その後の研究で、昆布に含まれるグルタミン酸、シイタケに含まれるグアニル酸、カツオブシ、煮干しのイノシン酸が「うまみ」の正体で、しかも、グルタミン酸とイノシン酸を混ぜると「うまみ」が増す、味の相乗作用があることがわかりました。理論は最近の研究による成果ですが、グルタミン酸とイノシン酸の相乗作用は経験的に昔から知られ、「うまみ」を出すこつは昆布とカツオブシのだしにあると、広く使われてきました。 ヨーロッパでは香辛料、中国では油脂に注意がはらわれ、日本ほど「うまみ」に対する執着は強くありませんでしたが、中国の湯、ヨーロッパのブイヨンも、成分的にはイノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸で、結局、古今東西、生活の知恵で、方法的にちがっていても同じ「うまみ」を求めていたわけです。

◎うま味(旨み、旨味、うまみ)は、主にアミノ酸であるグルタミン酸(コンブ)や、核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸(カツオブシ)、グアニル酸(シイタケ)、キサンチル酸などによって生じる味の名前。アミノ酸系ののうま味成分と核酸系のうま味成分がが食品中に混在すると、うま味が増すことが知られている。これを「うま味の相乗効果」と呼ぶ。現在、これらの天然から取れるうま味成分は、主として発酵工業の手法で人工的に製造され、うま味調味料の成分として使われている。

◎うま味物質の代表的存在であるグルタミン酸は、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の一つ。それぞれのアミノ酸は鎖状につながり、たんぱく質を組成しています。

◎「うま味」を呈する物質は、アミノ酸系、核酸系、有機酸系に分けられます。うま味調味料には、それぞれの特性を生かした配合が工夫されています。

〈アミノ酸系〉 アミノ酸はたんぱく質を構成する最小単位の物質。たんぱく質自体は無味ですが、それを構成するアミノ酸には甘味、苦味、うま味などを中心としたさまざまな呈味があります。「うま味」を呈するアミノ酸の代表的なものは、昆布に多く含まれるグルタミン酸やアスパラギン酸があります。

〈核酸系〉 核酸はヌクレオチドとも呼ばれるリン酸を含んだ物質。生物の代謝や運動エネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)が有名です。うま味物質として知られるのは、煮干し、かつお節に多く含まれるイノシン酸、しいたけに多く含まれるグアニル酸などです。

〈有機酸系〉 有機酸とは一般に窒素を含まない炭素化合物のことを言い、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸が有名です。この中でうま味を呈するものは貝類に多く含まれるコハク酸が知られています。

◎乾し椎茸の医学的検証
乾し椎茸のおいしさはグアニル酸と言いまして、かつお節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸と3大うまみ成分の1つです。 ガンに効果があることも医学会でも検証され、乾し椎茸のレンチナン(β―グルカン)という成分が、抗悪性腫瘍(しゅよう=体内にできる異常な腫れ物))効果でガンを小さくさせたり、ガン細胞を退治するリンパ細胞を元気にさせる、さらに、免疫力をアップさせることで、抗悪性腫瘍剤として活躍(抗ガン剤として臨床応用)しています。 そのことは、免疫不全症候群であるエイズに対しても効果があることでもわかっています。乾し椎茸のレンチナンが免疫力をアップ(免疫賦活作用・めんえきふかつさよう)させてくれるからなのです。 乾し椎茸の戻し汁には血圧を下げてくれることも検証されました。 乾し椎茸のエリタデニンという成分はコレステロールをすばやく体外に排出させ、体内での代謝回転の促進という作用があるのです。動脈硬化予防にはもってこいと言えます。 乾し椎茸は低カロリーですので食べすぎで太る心配もなくダイエット食品として注目されています。 それは、食物繊維が43%も含まれていることでも検証されています。 食物繊維は便秘の解消・大腸がん予防・肥満防止・血圧降下作用・コレステロール値降下・腸内の善玉菌の増加など、生活習慣病予防に有効であると検証されています。 特に乾し椎茸の栄養成分で特記すべき点はエルゴステロールという物質が含まれていて,このエルゴステロールは体内でビタミンDに変化しカルシウムの体内代謝に深く関わっていて骨を丈夫にし、骨粗しょう症の予防に役立つことが検証されています。さらに、このエルゴステロールはガンの増殖に必要な新生血管の発生を邪魔する働きがあるとの報告も出ています。 乾し椎茸の有効成分エリタデニンは核酸誘導体であり、コレステロール値降下作用が確認されています。 生椎茸よりも乾し椎茸に、菌床栽培椎茸よりも原木栽培椎茸に、これらの優れた成分は多く含まれています。 毎朝コップ一杯の乾し椎茸戻し汁を飲まれると、血圧降下に良いでしょう。