12/19
 今、嫁さんは家にはいない。週一回のバレーボールの練習で小学校の体育館まで出かけているのだ。したがって一階居間には私一人である。と、言うことは冷蔵庫のビールが飲み放題で、テレビは好きな番組見放題、こたつはおもいっきり足のばして寝転がり放題なのだ。世の中には「鬼の居ぬ間に洗濯」と言うことわざがあるが、ひょっとしてこれのことかと頭をよぎってしまう。
 だが、こんな平和な時間のほんの一時間前には、家族総出で大事件になりそうなことがあった。いや、大事件が起こってしまったと言っても過言ではない。それは…
 夕方、ポストにハルの友人からいつものように手紙が来ていた。かわいいスヌーピーか何かの柄封筒でハートの〆がしてある。なんとも女の子らしい封筒だった。ま、それはそれでいいのだが、問題はもう一通の手紙。それは私たちが仕事でよく書類等を郵送するときに使用する「茶封筒」にセロハンテープで〆を施されたどうみてもおかしい手紙がハル宛に来ていた。そこで家族全員、居間に集合し、緊急議会を開催した。与野党含め4名中、4名が参加したので出席率100%、議会裁判は成立するのである。裁判官は私、審議は「ネットで知り合った見ず知らずの人に住所を教えてしまい、そこから送られてきた手紙の内容は何か」である。向こう上面に面した嫁さんはカンカンに激怒し、狼狽を隠せない。一方ユウマはその手紙の内容に興味津々で何やらニタニタ笑っている。そして小さな声で「おまえなぁ、こんなもんシャレにならんぞ」とボソッとつぶやいた。被告人であるハルも、これはマズったと言う顔をしながら、「ごめんなさい。もうネットで教えたりしません」と深々と反省していた。ちょっと不機嫌な様子だったが、これがいい薬となるだろうと私も感じていた。審判を下す私は「被告人ハルの性格はいつでも誰とでもすぐ仲良くできるのは彼女の特権、これはすこぶる良い性格である。しかし、インターネットという使い方では良くも悪くも使えるこの環境を利用し、知り合った相手に意図も簡単に、家族の住所を教えてしまったことは重大な過失が認められる。だが、家族からの忠告を素直に受け止め、その後二階にある自分の部屋にあがって重々反省していることに酌量の余地が伺え、よって被告人ハルにあたっては今後パソコンは使っても良いがインターネットの使用時には保護者の監察付きとし、単独でのネット使用を禁ずることを言い渡す。よし!これにて閉廷…」と約10分足らずの議会審判は閉会した。

 ここをごらんのみなさんも子供さんがネットに夢中になって、出来心で知らない人に個人情報をつい教えてしまうということがあるかもしれません。そんなときは早めに悪芽をつみ取り、ネットの怖さを十分にわきまえた上で、子供に接するようにされたほうが賢明だと思います。
 しかし、あんなもんホンマに来たらドキッとして怖いで。いや、マジでマジで。
戻る