目次へ戻る
Piptocephalis sp.
エダカビ科、エダカビ属。かつてはMucorales・ケカビ目に入っていましたが、今ではZoopahales・トリモチカビ目に
位置換えされました。分節胞子嚢といって、細長い胞子嚢の中に、一列に胞子ができて、胞子嚢全体が節々で分かれる
ようにして完成します。
エダカビ属は、胞子嚢柄が2又分枝して、それぞれの先端に多数の分節胞子嚢がつくのが特徴。その姿は、よくある二股
分枝のフラクタル画像そのもの。
すべて菌寄生菌、それもケカビ目に寄生するものが大部分です。したがって、培養では寄主のケカビ類を育てて、それに
寄生させる、という2員培養という手を使います。
枝先についている水滴の中には、いっぱい胞子が入っているか、熟する前の胞子嚢が入っているかです。接合菌や不完全菌には、
胞子(分生子)がばらばらにつくものと、水滴中にでて、かたまりになるものがあり、前者をdry spore(乾性胞子とでも言うの
かしら?)、後者をwet spore(湿性胞子?)とがあり、この種はこの後者の方です。おかげで胞子嚢の細部がとても分かりに
くくなっています。
こんなのは、もうプレパラートを作るしかありません。菌糸をすくい上げ、アルコールを1滴滴下、水を加えてカバーガラスを
かけます(アルコールをかけないと、菌糸が水をはじいてしまいます)。
未熟な胞子嚢がついた枝は、きれいな形に見えます。しかし、胞子が熟すると、ごっちゃの塊になるか、すべて外れてしまいます。
あちこちに散らばったものを探すと、どうやらつながった形の胞子嚢が見つかりました。また。枝先にわずかにのこった部分もあります。
これは、枝先にふくらみ(頂嚢 head cell)があって、その表面に胞子嚢をつけるタイプですが、種名は?です。P. cylindrosporaあたりが
怪しい気がしますが、確証が持てません。難しいですね。
目次へ戻る
表紙へ戻る