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ミズタマカビ Pilobolus crystallinus
ミズタマカビ科、ミズタマカビ属。接合菌としてより、糞生菌としてとても有名なもの。
形に特徴があり、ひと目で見分けがつきますが、実は数種あって、種の同定はかなり難しいです。
何しろ、この特徴ある形は、この属の種全部に共通で、外見ではほとんど区別できません。胞子嚢胞子の
形が決め手になるのですが、これがまた難しい。その中で、この種は、小さな楕円形の胞子を作る点で、
判別しやすいものです。また、一番よくみかける種でもあるようです。
とにかく、必ず糞から出現すると言っていいでしょう。特に、草食性の動物、馬とか牛とか鹿とかです。
この写真は、ノウサギの糞からのもの。
培養するには、糞の成分が必要で、だから培地に糞の抽出液を入れないといけません。ただし、それ以外の栄養
要求はそれほどうるさくないので、ありきたりの培地に、糞をひと欠け放り込み、オートクレーブにかければ大丈夫。
それはさておき、糞上に出現した胞子嚢柄をみましょう。
胞子嚢柄についている球形のものは、水の玉です。ミズタマカビの名の由来が、ここにみられます。
胞子嚢柄の先が大きくふくらんでいて、この頂嚢の上についている黒いのが、胞子嚢です。
この胞子嚢柄は、光に向かって曲がる性質があるそうです。
ちなみに、伸び始めはこう。まだ、胞子嚢ができ上がっていません。
柄の先を拡大するとこうです。
ほとんどのケカビ類では、胞子嚢は壁が崩れたり裂けたりして胞子を放出しますが、ミズタマカビ科では、胞子嚢の壁は
崩れることなく、胞子嚢に入ったままでその基部から全体が外れます。特に、ミズタマカビ属ではそれが頂嚢の爆発に
よって遠くに飛ばされる、というのが目立った特徴になっています。言ってみれば、洗面器に胞子を詰めて、そのまま
投げ飛ばすような感じ。
で、飛ばされた胞子嚢は、光の方向へ飛んで、近くの草の葉にくっつき、草食動物に喰われ、糞と共に外へ・・・
ということになるわけですが、シャーレ内では、蓋の裏にくっつく事になります。
乾いて張り付いた胞子嚢に水をかけると、胞子嚢内の胞子が見えました。
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