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コウガイケカビ Choanephora cucurbitarum


コウガイケカビ科、コウガイケカビ属。
ウリ科やアオイ科の花などに出ることで有名。ちなみに、その仲間の病原菌の顔も持っています。

この仲間は、ケカビ類中でも特に色々と変わった特徴があります。単胞子性小胞子嚢をつける他に 大きい胞子嚢もつけるし、胞子嚢胞子は色がこく、縞模様があったり、針毛状の付属物があったり、 あちこちに何でまたこんなに…というような特徴があります。

この株は、すさみ町でカボチャの花に出ていたもの。かんかん照りの日向でも、ちゃんと枯れた花に カビが育ちます。考えてみれば、こんな条件でカビの姿を拝めるのも、結構珍しい。



この状態では、単胞子性の小胞子嚢を作っていて、菌糸の先端にいくつか枝が出て、それぞれの先が わずかにふくらんでいて、その表面一面に小胞子嚢がついています。この小胞子嚢は、そのまま外れるし、 発芽するときにも破れるようすはなく、まんま分生子に見えます。



この花を持って帰り、シャーレに寒天培地を敷いてそこに置けば、菌糸がどんどん伸びて来るわけですが、 今度は、大きな胞子嚢が作られるようになります。このあたりは、温度と湿度がかかわっているとの噂ですが、 ここいらの変幻自在ぶりが、コウガイケカビのコウガイケカビたるところ。



大きい胞子嚢は、その柄の先が少し曲がって、ちょっと巻き込んでいます。
それに、胞子ができると、胞子嚢壁が真っ二つに割れて、中の胞子を放出するという、ちょっと面白い 様子を見せます。



胞子が寒天の上にこぼれたところです。胞子は紡錘形で、両端に針毛のような付属物があるのが、少し 見えていました。


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