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タマツリスゲ
Carex filipes var. filipes


名前がいいですね。玉吊り菅。何か宝石を飾ってるっぽいじゃないですか。で、何となく勝手に憧れてたんですが。 いや、まともに見てなかったんです。高野山で一度ひどくいじけたのを採集して、この名で同定してもらった 標本はあったんですが、そこは今探しても何も無いです。
後、実はアリサンタマツリスゲは見たことあります。これも広く柔らかい葉の株から細長い穂がヒョウヒョウと 出る感じが面白いものでした。

割と普通種っぽく言われてますが、和歌山県では他では見てないです。高野山にあるのは前から聞いてましたが、 だいたい高野山と言うのは、よく調べられているせいもあってか、かわった植物が沢山あります。いや、それ以外の 和歌山県の方が変わってるのかもしれんが。といいつつ、高野山では見てなかったんですが、場所を知らなかった だけで、昨年よい観察コースを教えてもらったので出かけてみると、普通にあるんですね、これが。

何か、林縁の草地っぽいところに生えていました。背は低くて、柔らかい草でした。


やや深緑の葉っぱはあまり立たず、全体に艶消しです。穂は長く伸びてますが、これも立ち上がらずに 葉と一緒にたなびく感じで、写真にはうつりにくい。果胞が大きくて数の少ない小穂は独特の感じです。



引っこ抜いたのがこれ。葉を立てた姿に整えたので、印象が全然違います。
やっぱり全体に柔らかい感じで、淡いスゲ、という印象ですが、根元の鞘は意外なくらいはっきりと 着色していました。それも結構鮮やかな紫できれい。あと、匍匐茎らしいものも。


穂の様子がこれです。最下の雌小穂には細くてとても長い柄があり、まさに玉吊りスゲ。しかも果胞2つ とかしかないし。先端には短い柄の雌小穂と雄小穂が。雄小穂にはやや柄があります。も少し長いのもあって、 オオタマツリスゲじゃないか、と思ったりもしたのですが、ほとんどはそんなに長くないので、これで いいのでしょう。


雌雄小穂の拡大です。やっぱり根元の鞘の色が嘘の様に緑です。しかも果胞とがってるし。



果胞はとにかくとがってる。これは嘴が特に長いと見るべきなのでしょう。で、鱗片は本体の 長さくらい。



まずは鱗片をはがし、次に果胞を破る。果実は未熟で、ちょっと傷つけてしまいましたが、 どうやらその姿を見られたと言うところ。



2007年6月

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