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タガネソウ
Carex siderosticta
一見、スゲとはとても思えない姿です。葉は幅広く、と言っても、やっぱり普通の木の葉よりは細いんですが、スゲにはあるまじき
葉っぱです。これで株立ちになってたら、スゲにはまず見えません。で、その分、姿にまとまりがあるためか、たまに山草として
栽培されていて、斑入りなんか、なかなかきれいです。
そっくりの種にケタガネソウというのがあり、こちらは、茎や葉に粗い毛があるのが特徴で、本家の方は、毛がありません。
和歌山県では、むしろケタガネソウの方があちこちにあるような気がしますが、紀南ではどちらもあんまり見掛けません。
で、高野山へ行ったときに見掛けたのが、ケでない方でした。2005年6月4日。高野山を下って、極楽橋近くの道沿い、草の影に
小さなかたまりになってました。
多分、どちらかと言えば寒いところが好きなのでしょう。その後、護摩段山に行ったら、山頂を少し下った尾根筋の、林道沿いの木陰に
一面に生えているのを見掛けました。
それで、引っこ抜いて並べたところです。随分としっかり横に走ってます。細い匍匐茎がよく伸びてる。
葉の根元の鞘は、赤みがかってます。ちょっと色っぽい。花茎の根元もやっぱり赤い。そして、おもしろいのは、花茎が出ている場所で、
葉のない軸から出てます。どうやら、去年の葉の跡の、そのまた横の方から出ている模様。
分かりにくい写真になりましたが、包には鞘があって、葉の部分は少ないです。そこから伸びる小穂は、全部雄雌性で、先端に雄花が
少しあります。雌花はかなりまばらについています。それと、ちょっと分かりにくいですが、1つの節から小穂が2つ出ているのが
ありました。大きさはかなり違います。
包を剥がして、小穂の柄の基部を出してみました。はっきりとした稜がひれのように突き出していました。
小穂の拡大です。先端の雄花部と、雌花部です。
果胞と果実を出してみました。果胞が少々肉厚っぽい以外は、こうしてみると普通のスゲです。果実は形には
なっていますが、実は空っぽでした。だから本当の果実とは少し違うかも。あまり結実率高くなさそう。
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