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シラスゲ
Carex doniata


がさつで、とにかくたくましいスゲ。道端でも、手入れの悪い畑でも、よく育っている。
色は黄緑なので、イネ科雑草の中にあっては、やや鮮やかに見えるが、やや上品さに欠ける気が するのは、見慣れすぎているからかもしれないけど。

ただ、花が咲いているときは、細い穂を上に向けていて、成熟すると、今度はやや垂れ下がるのが、 かなり別人の雰囲気をもっているのも、結構面白い。

どこでもよかったんだけど、ちょうど通り掛かったすさみ町の小さな谷間の林道ぞいに、手ごろな 株がありました。



ちょっと木陰の、谷間の道端でした。マスクサがたくさん生えていました。
株にならなくて、小さな集団を作っていました。

土が固めでしたが、根は浅く、比較的掘り出しやすかったので、横にはう匍匐枝をできるだけ 掘り出してみました。



掘り出して、洗って広げたのがコレ。葉が長いですね。ほとんど茎の2倍はありそうな。葉が ゆったりとしなだれた当たりへ、やっと穂が顔を出すという見当です。
根本を見ると、鞘の色はわずかに茶色。それ以上に、匍匐枝がよく伸びているのが目立ちます。



穂の途中には包が一つ、長さは、これがずいぶん長くて、穂の先よりずいぶん長くなっております。 次の包の所から、小穂が出ています。少し柄があります。
雄小穂は真っ直ぐに立ち、雌小穂はトゲトゲに見えます。



雄小穂の拡大です。



雌小穂の方は、果胞の嘴が、いがのようにつき出ていて、そこから、さらにめしべの先がいっぱい出ています。 しかし、これが取れやすいようで、果胞をはずして果実を取り出すと、ぽろりと折れてしまいました。

ところで、図鑑の検索表には前葉というものが出て来まして、これが何のことか分からなかったのです。 (恥ずかしながら)。ところが、この前やっと図解があるのに気がついて、そしたら小穂の柄の根本に、 何か小さな鞘のようなものがあるらしいですね。鞘か鱗片のようなものだろうとは見当がついていたの ですが、てっきり小穂の雌花のすぐ下あたりかと、そしたら、雌花の鱗片と区別がつかんし、とか悩んで いたのですが、馬鹿でしたね。
それでは、と探してみたところ、ありました。手の平をすぼめたような、ちょっと変わった形のものでした。






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