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シラコスゲ
Carex rhizopoda


小穂が1つしかない形のスゲの一つです。

とても水辺が大好きなようで、用水路や、渓流の川岸に生えているのを見かけます。
ただし、多分、とてもきれいな水が好きなのでしょうね。
私は、比較的最近まで、近くにあるのを知りませんでした。高野山で見つけて、生石山で見て、 龍神村では、小川の川岸で見つけ、そうして、ふと気がつくと、秋津川でも、同じように川岸に 生えていたような次第。

気がつきにくい理由の一つは、この種は、小穂を1つしかもたないスゲの中でも、根本の葉がよく 発達するので、ちょっと見で、あまり特徴がつかめない上に、穂が細くて、葉に紛れるからかも 知れません。
良く育ったものは、穂も長く伸び、数も多くて、わりと目立つものです。

2003年5月12日 龍神村・東、沢岸にて。


しかし、このスゲは、大きさの差が大きくて、びっくりするほど小さいのを見かける事があります。 多分、順応力が大きいということでしょうか。で、秋津川のものも、あまり大きくならないです。
採集したのは、2004年5月8日。見ての通り、かなりいじけています。ちなみに、落ち葉に埋もれて いるようですが、実は渓流の川岸です。



葉にはつやがあって、テカテカしています。ちょっとハマスゲを思わせるような感じです。

まあ、これくらいのほうが標本は作りやすいですが。ちなみに、生石山の神社では、用水路から水を 引くホースの継ぎ目からあふれる水のたまったところで、5cmほどのがかたまって生えているのを 見ました。



根本を洗って広げます。
穂は葉よりも長くでています。匍匐枝はなくて、株立ちになります。
根本の鞘は、あまり色づかないようすです。



穂のほうですが、小穂の根本に、わりとはっきりとした包が見分けられます。
それと、茎がとてもはっきりとした三角形で、しかもひどくざらついています。接写でも、縁に そって鋸の歯のようなぎざぎざが見えました。



ご覧の通りで、何だかまっとうな果胞がならんでいますね。目立つのは雌花です。雄花は先の部分に かたまっています。いわゆる雄雌性の小穂です。



果胞は口先が少し、細くとがっています。



果胞の皮を剥くと、果実がでてきます。果胞の形とは、何だか似つかないような気がして、 それだけ見ると、いかにもスゲの果実というか…。

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