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サワヒメスゲ
Carex mira



全国的には珍しそう。こっちの方でも珍しい。でも、日高川には結構ある。よそにもあるらしいんだけど。 龍神村では、川沿いの岩の上にちょいちょい生えています。


2003年3月29日 龍神村檜皮の滝。

桧皮の滝というのは、キャンプもできる公園になっています。周囲はモミ・ツガの混じる照葉樹林で、 その中で岩の多い急流がながれています。上流下流の人家とはかなり離れているので、水もきれい。
そこの川沿いの岩だなには、湧き水があって、小さな池になっています。この水は、夏も枯れる事がない そうで、残念ながら、コイが放流されていますが、周辺はちょっとした湿地になっています。
この湿地周辺から川への岩場にかけて、サワヒメスゲがたくさん生えています。

とても早咲きで、毎年5月の連休前には、すでに果胞が熟して、落ちてしまっています。
今年(2004)はそれがさらに早かったようで、4月19日には、ほとんどの果胞が落ちてしまって いました。



匍匐枝はなく、株立ちになります。葉はあまり長くなく、花軸の方が長く伸びてます。
草の根もとには、茶色の鞘が見えます。




小穂は、花軸の先端に集まっています。雄小穂も雌小穂も、鱗片が紫っぽい褐色なのが、ちょっと おしゃれです。
ちなみに、果胞は熟するとこぼれるように落ちますが、そのあとも鱗片は残っているので、いつまでも 目立っています。




包は棘状になっています。鱗片は、先にも述べたように、紫っぽい色です。その隙間から、果胞の緑色が ちらほら見えます。




それでは果胞を一つ、はずしてみます。こうしてみると、鱗片がずいぶん大きくて、果胞を完全に隠し かねないようす。
面白いのは、果胞の縁に棘が並んでいる事。なんだか、虫みたいです。




鱗片をはがして、果胞を裸にしてみました。果胞の根本がふくらんでいるのが見えます。しかも 真っ白です。
果胞の背中川は黒っぽい褐色で、縁だけが緑、内側は先端以外は緑色、なかなかこった配色で、 やっぱり虫みたい。縁を中心に棘が並び、しかもよく見れば、縁にはぎざぎざまでかすかにあり、 ますます虫っぽい感じです。




果胞をはがすと、中からは真っ黒に見える果実がでました。ほとんど果胞と密着して、少し柄が あるようです。ほとんどつるつるで、光っています。柱頭は簡単に折れるようで、外れてしまいました。



外見も魅力的ですが、拡大すると、妙な面白さが感じられます。


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