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サナギスゲ
Carex grallatoria subsp. heteroclita


ごく小型のスゲです。和歌山県では1000m位の山地帯に出ることが多いです。と言っても、和歌山県で 1000m以上のところはほとんどないので、大抵は山頂周辺の尾根部になります。

花茎の先端に単一の小穂を付けるタイプです。基本亜種のヒナスゲは雌雄別株で、雄花だけの株と雌花だけの 株を生じる由。それに対して、サナギスゲは雌雄同株で、それだけではなく、小穂が雄雌性になります。


大塔山系の法師山での写真です。2005年5月5日。こんな風に、岩の上でコケに紛れるように生えていることが多い です。小柄な株立ちになってます。葉は地面に這いつくばるような大きさで、穂を伸ばしているのが見えます。

とにかく、全体に小柄で可愛らしいというにも小さな姿のスゲです。



採集して来たものを、ちょっと掃除して、広げてみます。
見ての通り、小さく背の低い姿。穂の部分、先端の紡錘形が雄花、下のまばらなのが雌花です。小穂としての まとまり感にはちょっと欠ける感じがありますねえ。


根元はこう。鞘は茶色になっています。若干匍匐枝が出る感じで、全くの株立ちではない様子。


さて、双眼実態顕微鏡の下へ行きます。


雄花は先端部にかたまり、きっちりと鱗片に包まれています。茶色の鱗片ですね。
雌花の方は、それぞれかなり離れて付いています。

この雌花、よく見ますとかなり派手な形です。特に果胞の先の方ですが、反り返ったくちばしは、 かなり刺っぽいのが並んでいます。


果胞を1つとりだしました。鱗片は、果胞より少しだけ長めです。果胞はやや反り返って、くちばしの 所に小さな刺のような突起が並んでいます。やや扁平になっていますし。


果実は、少し細長くなっていました。めしべの根元の部分は、ちょっとふくらんでいます。


2005年5月

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