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ナキリスゲ
Carex lenta


秋咲きのスゲとして有名で、本当にどこにでも生えている気がします。海岸縁のひなた、山際の道端、みかん畑の 石垣、山間部の谷沿いまで、どこに行ってもありますし、どこで見ても同じような顔をしていますが、 よく見ると見かけがずいぶん違う気もする。難しいものです。

ナキリスゲは、漢字で書けば、菜切り菅ということらしいですが、それほど切れる気はしません。がさがさしている のは確かですが。全体に細長く、穂はしだれていますが、結構立ち上がってるのもたまには見かけます。

○2003年9月22日和歌山市



これは、我が家の近所で見かけたものですが、溝の左側の株の穂は立っています。右側の株の穂は倒れ掛っています。

標本はキシュウナキリのあった田辺市新庄の丘陵地。キシュウナキリを取るついでに隣にあったひと株を引いて来ました。



キシュウナキリとよく似てます(そりゃまあそうか)。やや小穂が小さくて数が多いか?というくらい。
根元は硬い根があって、匍匐枝はありません。根元は褐色の繊維っぽい。



小穂は視野からはみ出しましたが、先に雄花がある雌雄性です。果胞はだいたい密についていますが、 根元では少しまばらな所もありました。
2003年10月28日・秋津川

ただ、株によっては果胞がやや開出気味に、つまり果胞が広がって見える場合があります。あれは、見た目がちょっと 違うので困ります。


見ての通り、表面にはずいぶん毛が生えています。全体に毛が一杯で、もしゃもしゃとして見えます。 これがこの種類の特徴らしいですが、肉眼では、こんなに毛が生えているとはとても思えません。



果胞を取り分けてみると、全体に毛が多く、特に縁の部分に強い毛が生えているのが分かります。



果実は、丸くて平たい、目立たない姿でした。


2003年10月

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