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ナガボテンツキ
Fimbristylis longispica


テンツキの仲間は、みんな同じに見えて困るんですが、これは小穂がずいぶん大きいので目立っていました。 見つけたのは、富田川河口近くで、内海の奥まったところにあり、道一つ隔てて森がある、ちょっと変わった場所です。 ちなみに、県内唯一のイセウキヤガラの産地でもあります。

海岸線の、満潮になると水に浸るあたりに、それは生えていました。後ろに見えるのは、船に渡るための足場です。 見に行ったのは2003年7月29日。


引っこ抜いたら、匍匐茎が見えたのですが、どうやらシオクグが混じっていたらしく、根元を洗うと、見えなくなって しまいました。むしろ、しっかりとかたまって生えているらしい。


小穂の数はそれほど多くはないが、それぞれが1cmを超えるほどの大きさがあります。また、茎も葉もまっすぐに立っています。 つやがあって、毛はないようす。


小穂を双眼実態顕微鏡の下へ置きます。楽々視野をはみ出しています。鱗片は黄色っぽい藁色。中肋は緑。それと、次の小穂の軸が、 下の小穂の鱗片の間から出ているのがはっきり見えました。へえー、こんなになってたんだ。


鱗片をめくって、果実を取り出してみました。


果実は倒卵形、黄色っぽい色でしたが、ピンセットでは硬い感触。これで成熟している ようです。柱頭はやや平たくなっていて、2つに割れています。いじくっていると、柱頭の根元で折れてしまいました。これは テンツキ属の特徴の一つだとか。


果実を拡大。表面に細かい凸凹が見えます。格子模様、ということらしい。
鱗片とのかかわりも見たいですね。そこで、鱗片についたままはがしてみました。


しかし、鱗片はすぐに乾燥してそってしまいました。逆に、鱗片だけはがして、果実を小穂に残してはがしてみました。


なんだが、リボンが付いてますね。これは花糸でしょうか。まあ、とにかく、いちおうナガボテンツキと同定しておきましょう。 今一つ自信ないんですが。 2003年7月

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