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ミズガヤツリ
Cyperus serotinus


これを見つけたのは2003年7月16日。すさみ町周参見川の河口部。シオクグの群落だとばかり思っていたら、 よく見ると焦茶色の穂が出てるじゃありませんか。これはこれはと驚いて、下におりてみました。ちょっと 太めの小穂をあまり沢山でなくつけた穂がいっぱい出ていました。


さっそく引き抜いてみると、案外と簡単に、ばらばらに引き抜けました。密生しているので、匍匐茎を のばすのでしょうが、さほど丈夫ではなさそうです。根元を水洗いしてみると、匍匐茎が数本出ているのが 見えましたが、割に細くて、柔らかい感じでした。さほど深くは入らないようでした。 なお、根元から少数ですが、ちゃんと葉が生えているのがわかります。


小穂を拡大してみました。鱗片は互いにきっちりと密着して、重なりあっています。剥がしてみると、 丸まってしまい、形がわかりにくかったのですが、鱗片は2列なので、鱗片の背側が見えるようにしてみると、 鱗片の先端は丸くなっていて、尖ってはいません。色は赤褐色で、中肋は緑色でした。


成熟していそうなところで、鱗片を剥がすと、果実が見えます。倒卵形で扁平な、なんだかのっぺりした ものでした。柱頭は2本。ちょっと扁平な感じです。


ところで、花軸への付く方向が問題になるとか聞いた憶えがあったので、もう一度鱗片を剥がして、果実を 動かさないように気を付けると、明らかに花軸の側に扁平な面を向けていますね。いわゆる腹背に扁平、 という奴ですね。言ってみれば、人間が柱に両手でしがみついた格好で、腹背とか左右とか決めるわけですね。


実はこの時点では、同定していなかったので、これだけのことを確認して、図鑑を引っ張り出すと、 意外に簡単にミズガヤツリに行き当たりました。

2003年7月

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