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ミヤマシラスゲ
Carex olivacea var. confertiflora


みずみずしい、黄緑色が印象的。山際の、水の湧いているような所に、大きな集団を作る事が よくあります。水の中で育つことはあまり好きではないようです。

その姿が気にいって、秋津川ビオトープでは初期の頃に導入した植物の一つ。多分ここが気に いるだろう、と考えて植えた、池のすみの水際が本当に気にいったようで、集団を作ってよく 育っています。水の深いところには出ていかないので、広がりすぎず、良い感じです。

近くでは、自然公園センターのそばの、ライオンズの森に流れ込む小川の上流に、小さな 湿地状の場所があり、そこの一角に一面に生えています。少し水の深いところでは、アオゴウソなど、 他のスゲが出ています。
最近、この湿地を少し整備しようと、少し池を掘りなおしたりしていて、その周囲ではミヤマシラスゲが とてもよく育っていたので、ここで観察する事にしました。2004年5月27日です。



見ての通り、太めの長い小穂が、茎の先に、やや集まって出ています。雌小穂は、若干重たそうに、 先が垂れかけています。
雄小穂は、茎が真っ直ぐ立っているだけに、真っ直ぐ天を向いているのも、なかなか愛嬌が 感じられます。

採集には、やや手間取りました。茎がずいぶん深く、なかなか掘り出すのも、引っこ抜くのも 大変でした。泥は柔らかかったのですが。



掘り出して、洗って広げたのがコレ。ずいぶん深く埋まっていたのが分かります。洗ってみると、 根本の鞘など、あまり色がついていません。また、横に走る匍匐茎がはっきりしています。
それと、根出葉がずいぶん長く、伸ばしてみると、茎の高さより長いのがいくつもあります。



花序の部分です。雌小穂は、棒のようになっていますが、これは、果胞が大きくふくらんで、 互いの隙間を埋めてしまうためのようです。
それと、先端の雄小穂の根本に、もう一つ小さな雄小穂がありました。複数の雄小穂を つけるかどうかは、同定の時の、わりと大事な特徴なのですが、結構例外があるようです。



雌小穂を拡大すると、これがもう、ほんとうに果胞の隙間がなく、何だか芋虫のような…
双眼実体顕微鏡の下では、つやさえ感じられるという、ぷくぷくぶりです。



ちなみに、雄小穂はこう。



果胞を開いてみると、ずいぶん余裕をもった果実が見られます。柱頭の根本がやや ふくらんでいました。


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