目次へ戻る

マツバスゲ
Carex rara subsp. biwaensis


スゲの仲間では例外的な、小穂を一個だけ軸の先につける型のものです。
湿地的な草地に生えるもののようで、何ヶ所かの池や水田の周辺で見ました。でも、何しろ細いのがばらばら 立ち上がっている姿を探すのは、なかなか難しい。それに、どうも水田周辺は、整備されるとなくなってしまうようで、 見つかるのは、昔の水田の趣が残っているところで、そこでも最近消えてしまったところもあります。 見つけ損ねているだけかも知れないんですけどね。


龍神村桧皮の滝公園にある、サワヒメスゲの生える湿地には、まとまって生えているところがありました。 これくらいまとまって生えていると、写真にも撮りやすいんですが。採集は2004年4月19日。




軸も葉も細くて、というより、この状態では、葉があるのやらどうやらも分かりません。でも、先に雄花部 がある小穂が並んでいる姿は、可愛らしい気もします。



引っこ抜いて、根本を少し片付けてみると、ちゃんと根出葉があるのが分かります。
少し長めの鞘の先から、細い葉が伸びているようです。軸よりはずっと短く、果胞は高く 伸び上がってついています。
根本を見ると、地下茎はわずかに横に這うようですが、匍匐枝は出さないようす。 新芽は真っ白ですが、成長した軸は薄い褐色になるようですね。



小穂は、先の細い部分が雄花、したの太い部分が雌花になっていて、まとめて一つだけ。
雌花はすでに果実になっていて、米粒のようにふくらんでいます。
ところで、普通のスゲは、花軸の途中や小穂の下に包葉があるものですが、どこにあるんでしょう。
とにかく、双眼実体顕微鏡の下に移します。



雄花も雌花も、鱗片は茶色になっています。
果胞は緑色で、ぎっしりとついているので、押し合いしているように、立ち上がった形。

ところで、小穂の一番下を見ると、そこだけ形が違っています。
mtbsg08.jpg


鱗片と同じ色ですが、ずっと大きくて、とがっています。これが包葉なのでしょうか?着きかたは、 最下の果胞にくっついた鱗片にしか見えないです。



果胞を一つはずしてみました。少し平たい形ですが、なんとなくもこもこふくらんだイメージがあります。


果実を取り出すと、こちらはずっとすんなりしています。どうやら、かなり果実と果胞とのすきまが大きいようです。 特に根本の部分は余裕があったようです。


2004年4月

部屋の目次へ戻る
表紙へ戻る