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コシンジュガヤ
Scleria parvula


ほとんどみかけたことがありません。以前に白浜町でそれらしきものを見せてもらったことがあるのですが、 ちゃんと確かめることはできず、それ以後何度か見にいったけれど、見つけられませんでした。そこは、 今でもオミナエシが自生する休耕田でしたが、次第に草が深くなって、今は歩くのも大変。もう無理かと 思っていたのですが、今年8月に白浜町平の湿地を見にでかけたとき、それらしいものを発見。
これは探しにくい。すこしまとまって生えてるのに、他の草に紛れてしまって、ほとんど目につきません。

改めて2003年10月1日に採集にでかけました。コンクリート舗装された農道と、雑木林の境目の水のしみ出る 所に生えていました。ひょろひょろと他の草にもたれ、あるいはもつれるように伸び、全形はよくわからない草。
根元を探って引き抜きます。数本の茎が束になり、若干根元が堅い感触がありました。


持って帰り、紙の上に広げると、意外と大きいのにびっくり。一番長い茎は60cmばかりもあります。 これが生えていたときは、高さ20cmもなかったんですから、妙な草です。
もっとも、同時に採集した他の株は、はるかにちいさく、せいぜい20〜30cmでしたから、これは大きい方 なのでしょう。
花序は、茎の節々からまるで鈴をぶら下げた感じに、1〜2個くらい、垂れ下がっています。特に花序の 下の方は細く、しなやかな感じでした。



ひょろひょろで頼りないけれど、よく見ると、色々面白いところがある草でもあります。



葉の基部の鞘にははっきりとした’ひれ’があります。茎の根元の方では、葉の本体がほとんどなくて、 ほとんど鞘だけになっていて、ひれもありません。
それと、驚いたのが、根です。水で洗ってみると、きれいな赤い色をしていました。



この仲間は、小穂に雌雄の別があるとか。果実はかなり大きく、鱗片を押しのけて大きく顔を出しますから、 すぐにわかります。もっとも、未熟なものばかりで、外すことはできず、また、大きくなる前の若いものも 見られませんでしたが。
だいたい、柄の先に小さな包葉の上に、大きいのと、葉巻型の小さいのが1つづつ組になってる、というのが 決まりのようです。大きい方が雌、細い方が雄ということのよう。




雌小穂を一つ、取り出してみました。2枚の鱗片を大きく押し広げて、果実が見えます。表面が凸凹していること、 先が平たくなって、毛が生えているらしいことがわかります。柱頭はどこだ?ずっと前に落ちてしまったという ことでしょうか?




細い方の小穂は、鱗片がきっちりと巻き込んでいて、剥がすのがうまくいきませんでした。中には紐がなん本もあるのが わかっただけ。おしべの残りだとは思いますが、確証はないですね。

野外では存在感がまったくなさそうな植物ですが、色々面白い植物だと思います。


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