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カワラスガナ
Cyperus sanguinolentus


一応普通種ということですが、なんとなくほかのカヤツリグサ類に紛れて、今一つメジャーになり切れない 気がするのは、私の勝手な思い込みかも知れません。花穂の展開があまり派手でないので、目立ちにくいのかも。 草の間から抜け出すこともなく、すこし紛れ気味に咲いているせいかも。などと、責任を押し付けても仕方ない んですが。
他方、前はカヤツリグサ属に入ってたような気がしたのに、いつのまにか独立属の名前になってたりするるので、 そんなえらい奴だったのか、一遍くわしく顔を見てみたいものだなどと。もっとも、新しい文献では、またカヤツリ グサ属になってますね。
あちこちで点々と見ていましたが、今回、えらく大きな株を見つけることができました。場所は田辺市・ 秋津町の放棄水田。最近多いですね。草の間にひと塊、色のすこし濃い目のカヤツリグサ類だと思って入ってみたら、 何とも立派なカワラスガナの大株でした。2003年9月28日でした。

とにかく小穂の幅が広くて、小判型というか、そこははっきりとわかりやすいところです。
小穂の集まりが、長い枝の先についています。花茎の先に一つに集まるのが標準のようですが、 保育社の図鑑にはナンゴクカワラスガナforma sanguinolentusというのが見えるので、これにあたるので しょうね。formaですから、あまり気にしなくていいのかも知れませんが。




ちなみに、直後に白浜の平湿地で見たのは、結構大柄だったけれど、花序はひとまとまりでした。

○2003.10.01;白浜町平


引っこ抜いて並べてみました。ずいぶん大きいですね。横の定規は17センチの目盛りの奴なので、 全部で50cmくらいはありそう。放棄水田で草丈が高かったですから、すこし伸び過ぎかも知れませんね。
地下はごく簡単な根っこがあるだけですが、地下茎がすこし上に伸び出したような格好を しています。保育社の図鑑には、「基部は長く横に匐い」とあるのがこれにあたるのでしょう。 まあ、これは這っているとは言えませんが、条件次第でここが這うわけなのでしょうね。


小穂一つ拡大してみました。なんだか、厚みがあって、皺があって、まるで金属版に細工したかのような重厚さ。
ところが、鱗片を一枚ずらしてみると、案外に薄くて、ひらひらしています。表面の皺と色、それに、すけて見える 果実の色の効果のようです。果実は扁平な形。回りにはおしべの名残のリボンが見えます。



成熟していそうなところで、鱗片を剥がすと、果実が見えます。倒卵形で扁平な、なんだかのっぺりした ものでした。柱頭は2本。ちょっと扁平な感じです。


鱗片を剥がすと、果実が完全に見えます。なるほど、左右から扁平というのはこれですね。同じように扁平でも、 ミズガヤツリの場合とは 完全に向きが違っています。

2003年10月

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