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カワラスゲ
Carex incisa


柔らかい緑色、艶消しの葉が印象的です。道端に這いつくばるように生えています。
それと、細い小穂が特徴とか。


ふまれるような、回りに草のない山道のそばなどにはえていることもあります。そういう場合、 どこが河原スゲなのか?といった景色で、こんな柔らかい葉でも、乾燥に強いのかしら、とか 思うわけですが、水気の多いところ、沢の脇などで見掛けると、これは本当は水が好きな奴 だったんだな、そういえば水気の多い、とか(単に節操がないだけかも)。

ただ、この地域では、平地では見掛けないような気がします。近場では、秋津川で見ていますが、 ここは、標高200mそこそこながら、シャクナゲまで生えてしまう土地柄です。見に行ったのは 2004年6月5日。
梅畑のそばの道路ぞいでは、例によって踏み潰されながらも、小さな集団を作っていました。
穂は少し茶色になって、かなりの果胞がすでにこぼれていました。



ところが、そこから谷間へ道を下ると、そこには道脇から水があふれて、道路が水浸しになった ところがあり、そこにもカワラスゲが、実に青々と茂っているのです。しかも、穂がまだ きれいな状態でした。



じゃ、採集するならこっち、というわけで、こちらを解体の対象にします。
不思議なもので、水気の多いところの方が元気かと言えば(元気そうに見えなくは ありませんが)、とりたてて背が高かったりはしないんですね。



掘り出して広げたところです。穂の方が、葉よりかなり長いのですが、倒れ込んでしまうので、 上に抜け出てはこないようです。
それから、根本、地下茎がしっかりしたかたまりになっています。掘るのも大変でしたが、 押し葉にするのも大変そう(実際、大変でした)。
根本には、茶色の先のとがった鞘が見えます。




穂の部分です。残念ながら、持ち帰る途中に、果胞がかなり落ちてしまいました。
それでも、雌小穂の根本では、果胞がかなりまばらで、先の方へ行くほど密になっている のが分かりました。






雄小穂、雌小穂、それに前葉です。
前葉は薄くて白く、絹の靴下の様な…?



果胞、雌花鱗片に果実です。外見では信じられないくらい、扁平な果実がはいっていました。


2004年6月

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