目次へ戻る
イソヤマテンツキ
Fimbristyllis sieboldii
海岸性のテンツキです。よく岩礁海岸の岩の上にかたまった株になっているのを見ます。
2003年6月25日 すさみ町口和深・海岸の岩の上にて。
これでも、沖縄にゆくと、干潟の様なところで一面に生えていて、それは変種のシマテンツキといいます。
背丈も高くなって、1m位になるのですが、こちらではそんなに大きくなりません。
ただし、たまに干潟の様なところで大きいのを見ますから、検討の余地はあるのかも。
ところで、今回の標本は、2005年10月4日に串本町の某下線の河口を見にいったときのものです。そこには
小数ながらウラギクが成育しています。他に一面にナガミノオニシバ。そこにまじって生えてました。
最初は、ああ、イソヤマテンツキもあるな、という感じだったのですが、よく見ると、やたらに小穂が長いじゃありませんか、
あれ、こんな小穂長かったっけ、それとも、ナガボテンツキ?それも変、で、とにかく持って帰ろうと。
両手の指が回らないほどの大株だったので、一部を引っこ抜き、洗ってみました。
根出葉がほとんどないです。これはちょっと困る。で、根元の鞘がきれいに赤っぽく色づいています。匍匐茎は出ないようです。
花序はテンツキのよくある形、しかし小穂は大きいのは2cm近くもあります。これは長い。包は、ほとんど目立ちません。この点は、
ナガボテンツキとは随分違ってます。
鱗片をはがすと、果実もくっついて来ます。果実は濃い褐色、表面はほんの少し網目っぽい模様があります。
柱頭は2本、めしべは扁平、毛が生えているという、ここは一応イソヤマテンツキの特徴になってます。
しかし、小穂の長さといい、根出葉がほとんどないことといい、これは、少なくともシマテンツキっぽい
個体、ということなのでしょうね。
部屋の目次へ戻る
表紙へ戻る