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ヒカゲスゲ
Carex humilis


名前は日陰菅ですが、今一つそぐわない気がします。たしかにかんかんでりの日向には出ませんが、かと言って、 森の中に出て来ることもあまりありません。どちらかと言えば、乾燥したところ、道端とか岩の上とかに出て来ます。 そういうところの、せいぜい木陰くらいのところが好きなようです。


2003年4月14日 田辺市稲成・岩の上にて。


この写真も岩の上。 かなり早咲きで、4月の始めには花が出て来ます。夏緑性で、細い葉が枯れ葉になった中から、細い若葉と一緒に、 それより高いところまで穂が伸びます。果実が熟するのはもう少し先。他のスゲが花を咲かせるころか。 で、2005年4月28日に白浜町椿のとある林道わきにて採集することに。アスファルト舗装の道わきに生えていました。 花時より、穂はさらに長く伸び、倒れ掛っています。

引っこ抜いてみたのがこれ。大層根が発達しています。アスファルトの上なので、抜けやすかったためも有りますが、 ずいぶんよく伸びて、丈夫そうな根です。匍匐枝はなし。根元の鞘は繊維になっています。


穂は多数あって、このままではごちゃごちゃ。1本だけ抜き取ってみました。下の方に包が1つ、葉状にはなって ないのが分かります。小穂は、先端に雄小穂が1つ、下に雌小穂が4つばかり、下のものには長い柄が付いています。

さて、双眼実態の方へ。雄小穂は、褐色ののった鱗片が重なっているのがわかります。雌小穂の柄の下の方に、前葉で しょうか、包でしょうか、1つ付いています。雌小穂を見ると、鱗片の間から、丸っこい果包が見えます。

果包は鱗片より短く、丸い頭をしています。また、基部が肉厚になっているのも独特です。 それに、全体に短い毛が生えて、絨毯のよう。その中には、やや扁平な 果実が入っていました。

果実を取り出してみると、基部の形はすんなりとしています。 柱頭の基部がちょっとふくらんで、すこし曲がっていました。ちなみに、束になった柱頭は、 よく見れば、3本に分かれていました。


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