◆長崎（ながさき） ※　この地図は、地理調査所発行の1／50,000地形図「高松」（昭和22.3）を使用したものである 所在：高松市屋島西町（やしまにしまち）字長崎 地形図：高松北部／高松 形態：海沿いに家屋が散在する 標高：約10m 訪問：2019年12月   　屋島西町の北端にある。 　長崎の鼻（＝岬の名）の東西に人家が少数ずつ散在し、東側に1世帯が現住。話によると、全体で数軒があり往時は田も作っていたとのこと。生業は様々。岬の北には木里（きさと）神社があるが、集落の氏神というわけではないよう。 　現住世帯付近では、家屋のほか2箇所の墓地（1箇所では佐々木姓を確認）、溜め池などが見られた。水田は既になく、段々になった地形がその名残を思わせる。尾根を挟んで南西側の浜付近（写真11-13）では、後年になり設けられた小屋、北西側の浜付近（写真14-21）では屋敷跡や鳥居が確認できた。さらに尾根上では木里神社と小祠群（写真25・26）・墓地（写真27。宮本姓を確認）があり、小祠群がある一帯は5世紀の初めに造られた前方後円墳であるとのこと。以下は解説板より。 　長崎鼻古墳 　本古墳は、屋島の北端長崎ノ鼻の瀬戸内海が見渡せる標高五十メートルの丘陵に立地しています。平成八〜十年度に実施した確認調査の結果、五世紀の初めに作られた全長約四十五メートルの前方後円墳で、前方部を西に後円部を東側に作られていることがわかりました。 　古墳の墳丘は三段に作られており、各段の斜面には多くの石を使った葺石が葺かれ、後円部の竪穴式石槨からは熊本県菊池川流域で作られた阿蘇熔結凝灰岩製の舟形石棺が確認されました。これと同じ材料で作られた舟形石棺は、香川県西部の観音寺市で五世紀中頃のものが二例確認されていますが、本古墳は石棺の形態からこれよりも古い五世紀初めのものであることが判明しました。 　古墳の場所が屋島の先端に作られていることや、石棺製作地がこの地から遠く離れた九州地方であることから、古代瀬戸内海の海上交通に関係した人物の墓であると考えられます。 　高松市教育委員会 　さらに長崎の鼻にはかつて海防のための砲台が置かれていた時期があり、その跡地は遊歩道により散策が可能。以下は解説板より（本文でのルビは、必要に応じて【　】で記した）。 　長崎ノ鼻砲台跡 　このあたりは、屋島の最北端に位置し、長崎ノ鼻と呼ばれています。ここからは、女木島、男木島、大島、豊島【てしま】、小豆島などの美しい瀬戸内海の島々や行き交う船を眺めることができます。 　1853（嘉永6年）ペリーが軍艦を率いて浦賀に来航して以来、国内では海防の必要性が強く叫ばれるようになりました。讃岐では1863（文久3年）幕府の命を受けた高松藩主松平頼總【よりとし】が高松の港を守るため、ここに砲台を築きました。砲台築造には長崎で西洋砲術を学んだ藤川三溪【さんけい】（現高松市三谷町出身）が関わったとされ、南の丘から海に向かって上、中、下の三段に分かれていました。上段は守備兵の屯所であったと推測されており、中、下段には大砲が3門ずつ備えられるようになっていました。 　資料『屋島風土記』には、「旧西潟元村の集落」として長崎も挙げられており、昭和初期以前より存在していたことが分かる。平成21年現在屋島には33の自治会が存在しているが、当地はこのうち浦生（うろ）に所属。長崎鼻港は、明治期には機帆船により木材の積み出しを行っていたとのこと。
写真1　屋島北端の遠景。北嶺（左）と長崎の鼻（右）	写真2　集落風景（以下東部）
写真3　浜。右後方は北嶺	写真4　倉庫
写真5　墓地	写真6　墓
写真7　石仏	写真8　溜め池
写真9　小祠（県道からの降り口付近にある）	写真10　何かの石塔？（県道からの降り口付近にある）
写真11　浜への降り口（以下南西部）	写真12　小屋のある平坦地
写真13　浜	写真14　建物の遺構（以下北西部）
写真15　浴槽	写真16　円筒状の遺構
写真17　浴槽	写真18　礎石
写真19　鳥居	写真20　瓦。写真19脇にて
写真21　浜	写真22　神社参道と畑（左）（以下尾根筋）
写真23　神社拝殿など	写真24　境内から庵治方面を望む
写真25　小祠	写真26　小祠
写真27　小祠付近の墓地	写真28　砲台跡の一部（以下長崎の鼻先端付近）
写真29　墓地。写真21の世帯のものか	写真30　砲台跡の一部（手前）と長崎の鼻（先端）
写真31　長崎の鼻より写真21を望む	写真32　砲台跡の解説板
写真33　石仏	写真34　長崎の鼻より高松市街を望む