◆尾崎(おざき)
※ この地図は、地理調査所発行の1/50,000地形図「氣仙沼」(昭和21.10)を使用したものである
所在:気仙沼市松崎尾崎(まつざきおざき)
地形図:気仙沼/気仙沼
形態:海沿いに家屋が集まる
離村の背景:災害
標高:数m
訪問:2023年5月
松崎地区の南東部にある。面瀬(おもせ)川の河口付近で、気仙沼湾に面した地区。
平成23(2011)年3月の東日本大震災により被災。
現在集落跡は「松崎尾崎防災公園」として整備され、高台の尾崎神社のみが往時の雰囲気を残している。
以下は説明板の「尾崎地区について」の全文。
二〇一一年(平成二三年)三月十一日、午後二時四十六分に発生した大地震(マグニチュード九.〇)とその後の午後三時二五分頃から押し寄せた巨大津波(当地区の浸水高約九メートル)によって、地区内九九世帯全戸の家屋をはじめとするあらゆる財産が破壊され、流失し、地区住民の二六人も津波の犠牲となる大惨事となった。
地区内の高台にある尾崎神社境内は、自治会(尾崎郷和会)で、津波避難訓練を実施した際の緊急避難所としており、震災当日も三四人の住民が避難した。その夜は、標高九メートルある境内の足元にまで押し寄せる波や降りしきる雪により死の恐怖と隣り合わせの中、身を寄せ合い励ましあって一夜を過ごし命をつないだ。
震災以後、当地区が津波災害危険区域に指定され、住宅の再建が他地域へと向けられたことから、尾崎郷和会もやむなく解散。約四〇〇年前から集落が形成されてきたと伝えられる地区の歴史も終えることとなった。
ここに新しく整備された防災公園が、今後多くの人々に親しまれることを願うとともに、尾崎地区の成り立ちと歴史に思いを寄せていただき、この公園が幾久しく愛される憩いの場所として地域融和の礎となることを祈念して記す。
二〇二一年曽月 旧尾崎郷和会
なお疫病退散を願い1881年より続けられてきた「尾崎大名行列」についても記されているが、これも震災で衣裳や道具が失われたため保存会が2012年に解散したとのこと。
|