田辺市市民活動センター
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    市民活動団体ファイル 31

NPO法人ハートツリー 理事長 酒井滋子さん (田辺市本町)

   
 ひきこもり青年の居場所「ハートツリー」は下屋敷のごく普通の民家にある。お話を伺っていると職業体験を終えた利用者が戻ってきた。「〇〇ちゃん、今日はどうでしたか?」と小気味よく張りのある声をかける。酒井理事長は平成3年に教師生活を定年で終えたのち、朝日ヶ丘の田辺西牟婁教育会館にあった教育相談センターの相談員となる。ちょうどその頃は不登校児の問題が大きくなってきた時で、相談にきた不登校の子どもも義務教育期間を終えてしまえば、進学・就職した子どもを除いて動静がわかりにくくなる。ある意味では「社会的に忘れられた存在。そんな人がいる社会は何かおかしいのでは?」と感じる。もちろん自宅にひきこもって生活している青年を支援する機関はなかった。

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 ひきこもり青年親の会や不登校児親の会「たんぽぽ」とともに活動を始める。「そういう青年たちが家をでて集まる場が欲しい!」。最初はいったいどこに話をもって行っていいのか悩んだ。田辺市教育委員会生涯学習課に相談すると、理解を得て市民総合センターの一室を週2回借りることができた。やがて曜日や時間を気にせず、もっと自由に使える場所の必要性が高くなってくる。田辺市が「ひきこもり相談窓口」を設置するなど行政の理解が進む中で、平成14年に一軒屋を借りてハートツリーハウスを開所する。その後、活動の充実と運営の安定を図るために平成18年には特定非営利活動法人の認証を受け支援の幅を広げている。

 平成16年、「和歌山県ひきこもり者社会参加支援センター」が制度化され、運営事業補助金を受けることができるようになる(県・市が1/2ずつ補助)。 県と市がこういう制度を設けているのは全国的にもまれであるという。現在、「通所」の利用者は8名、イベントに参加したり家庭訪問を受けたりする「登録」の利用者が3名いる。3ヶ月程度の「体験」の利用もある。社会への繋がりづくりとして、手作りクッキーやケーキをイベントなどで販売したりもする。

 「ここはひきこもり青年の居場所なんです。ここに来て何をしてもいいし、何もしなくてもいい。人は人のなかで支えられる。居場所は人がいてこそ居場所ですから、私たちスタッフの質も問われます。ひきこもりは自分の身を守るためにとった手段であると私たちは理解しています。『ひきこもりという行動をとった青年を受け入れ、その行動を生き方のひとつとして認めていける社会』であればいいと思います」

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 現在、独立行政法人福祉医療機構の助成で、市民講座「ひきこもりの理解と支援のために」を開講中。同助成でひきこもり青年の自立・就労支援事業も展開している。
 もうひとつ、本年度は厚生労働省より「地域若者サポートステーション事業」を受託。就職を目指している若者、働くことに不安のある若者(対象年齢15〜35歳)とその家族を対象に支援を行う「南紀若者サポートステーション」を市民総合センター北館にて開所している。(TEL 0739-25-2111)

NPO法人ハートツリーのブログ http://yaplog.jp/hearttree/

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